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2005年05月 アーカイブ

2005年05月01日

ビール好きの料理ノート (勝身利子)

beer.jpgTitle: ビール好きの料理ノート (晶文社)
Author: 勝身利子 (中沢由美子 イラスト)
Category: レシピブック ビール名鑑
Contents: 世界のビールとそれに合う酒の肴のレシピ

Comment: 本屋で見つけたときはほとんど反射的にてにとってレジに向かってました。だって、美味しそうなんだもの。この本は基本的に料理は写真ではなくイラストです。でも、これがまたなんか美味しそうな気がするのが不思議。世界の様々なビールと料理が見開きでまつわる話、レシピ、イラストが入っていて、シンプルな作りにもなんだか好感が持てる。呑んだことのないビールもいっぱいのっています(全部で50種類のビールと料理が紹介されています)。一応地域別にリストされているのだが、地域によって呑んだことのあるものの率が違うなあと気づきびっくり。日本は10種類のうち、8種は呑んだことがある。アジアのリストで、5/10。結構呑んでるつもりのヨーロッパは10/22,アメリカで2/8。アメリカのビールをあんまり飲んでないんだなと改めて認識したのでした。ギネスにはアサリのクリーム蒸し(やっぱりシーフードがあうよね)、ゴールデンイーグルにはオクラカレー(やっぱりクミンのにおいのするカレーにはインドビール)、コロナ・エクストラにはアンチョビのサラダ(イラストを見てホントにコロナが呑みたくなりました。)。はあ、ホントにビールを飲みたくさせる本です。ビール好きのかたには是非。はー、ライム入りのコロナか、レモン入りのレーベンブロイが呑みたいぞ~(魂の叫び)。
ちなみにこの著者は日本酒、ワインそれぞれについても本を出されてます。でも、とりあえず今はビール編だけでいいや。しばらく楽しめそうです。

2005年05月05日

みなみさんの幸せケーキ (渡辺みなみ)

minami.jpgTitle: みなみさんの幸せケーキ (筑摩書房)
Author: 渡辺みなみ
Category: レシピブック エッセイ
Contents: その昔ニュースステーションでニューヨークからのリポートに登場していた渡辺みなみさんのケーキブック。彼女がいかにしてケーキを作るようになったか、ニューヨークのお菓子事情などなど。

Comment: 先日ノッティングヒルの恋人のブラウニーを作ったときに、reitaroさんから確か渡辺みなみさんの本(実はこの本ではなくケーキノートというのが別にあります)にキャサリン・ヘップバーンのブラウニーっていうのがあったはず、というお話をいただいて、なんとなく渡辺みなみさんの本を気にしていたのですが、近所の本屋で見つけたので早速購入。この本にも映画にまつわるお菓子の話がのっています。その一つが「めぐり逢えたら」でトムハンクスがはやりのデザートとしてティラミスを勧められる話。そんなシーンあったっけと思いつつもまたあの映画を見直す気になるところが不思議です。ケーキのレシピはとてもシンプルで作りやすく、失敗なさそうな感じ。エッセイのところはさらりとした書き方なので、読み物として期待して読むとがっかりするかもしれません。それでも、忙しいときのパーティ用のデザートの話など、ありがたい話も一杯。忙しい中でも人をもてなす気持ちが大事だよなとうなずきながら読んでおりました。

ちょうど、もうすぐ相方の誕生日で、レアチーズケーキが食べたいとのリクエストだったので、みなみさんのレシピのレアチーズケーキをベースに久々に作ってみました。冷やし固めるチーズケーキなんて作るの20年ぶりくらいかも。とりあえずうまく固まったので、お披露目。みなみさんのレシピはシンプルなレアチーズケーキですが、今回つくったのはヨーグルトがはいったもの。おまけにラム漬けのフルーツとナッツをしたにひいて、チーズの地にもラム酒をしっかり投入。クラッカーで台をつくるのが面倒だったので、クラストを買ってきました。おまけにグラハムクラッカーの台が嫌いなのでショートブレッドの台を使用。チーズケーキとしては邪道かもしれない…まあ美味しかったのでよいか。

2005年05月06日

世界の映画ロケ地大事典 (トニー リーヴス)

worldlocation.jpgTitle: 世界の映画ロケ地大事典 (晶文社)
Author: トニー・リーヴス (斎藤 敦子 訳)
Category: 事典 映画ロケ地観光ガイド?
Contents: 映画のロケ地の事典。1600を超える映画のロケ地、建物、エピソードを網羅。実際に訪れる事ができるかなど、実際に旅行する人に親切な作り。

Comment:以前紹介したトニーリーブスのロンドンの映画ロケ地ガイドの世界版。まさしく事典です。最近よくおじゃましている映画で世界を旅するブログさんを見ているうちに、かなり欲しくなってアマゾンで購入。映画の趣味のない人が買うには高いです。でも情報量は値段以上。すごいです。名作から最近の作品まで網羅されていて、かなり楽しめます。昔から事典を”読む”のは好きな方なので、ふとした時にふむふむと読んでニコニコしています。もちろんまだ読み終わっていませんが、旅行する前に読んでからでかけよう!と思っているところ。事典としてはあいうえお順に映画名で項目が並び、地域別の索引が付いていますから、たとえばオーストリアに行くぞ!というときにはなるほどウィーンで第三の男、とかザルツブルグでサウンドオブミュージックってな感じで、チェックできます。著者のトニーリーブスがイギリス人なので、やはりイギリス映画が多いのと、よく知っているせいなのか、ロンドンがせまいせいなのか前に紹介したロンドン版の方が旅行ガイドとして面白いきがします。アジア映画はほとんどはいっていないのですがヨーロッパ、ハリウッド映画のお好きな方は是非。

こういう短い文が続くようなものって、ついトイレで読んじゃうんだよなあ。最近すっかりトイレ本になっております(失礼)。

2005年05月09日

エターナルサンシャイン

エターナル・サンシャイン
サントラ ジョン・ブリオン E.L.O. ザ・ポリフォニック・スプリー
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ (2005/03/09)
売り上げランキング: 1,524
通常3日間以内に発送
↑はサウンドトラックです。念のため。

Original Title: Eternal Sunshine of the Spotless Mind
Dir: Michel Gondry
Cast: Jim Carrey, Kate Winslet, Elijah Wood, Kirsten Dunst, Tom Wilkinson, Mark Ruffalo
Story: けんかした恋人クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)に会いに行くと、彼女はジョエル(ジム・キャリー)のことを見知らぬ人として扱い、新しい恋人までいるらしい。落ち込んだジョエルにクレメンタインがジョエルに関する記憶を消す治療を受けたことが知らされる。強いショックを受けたジョエルは自らもクレメンタインに関する記憶を消す治療を受けるが、その治療の最中にどんどんと消えていく思い出の中彼はその治療をうけたことを後悔する。

Comment: なんかこの映画くどかったです。面白かったんだけどね。もう封切ってから大分たっていますこの映画ですが、昨日新宿の松竹でやっていることに気づき、ちょうど時間もよかったので行ってきました。久々の映画だよ~。で、知っている人は知っていると思いますが、この映画館結構小さいのよ。で、今回の上映するところはなかでも小さめかな、定員44人。なかなかこぢんまりしたところで、小さめのスクリーンをみるというのも集中できて良かったかも。

で、映画なんですが結構定番の時間軸をうろうろするストーリーなのでこ、伏線とおちの間がちと複雑で、頭の中の情報がいっぱいいっぱい。見終わって「理解できたけど、疲れた~」って感想でした。おそらく映画を作っている方もその点をわかっているのでしょう、何度も何度も念押しのような観客の理解を迫るような(?)ひねりが入って、最後には「わかったってば」という気分でした。

あらすじを見るとラブストーリーに見えるかもしれませんが、実はそうではなくてジョエルが自分の心の中を探るお話です。全編にわたってでてくるクレメンタインも彼の記憶の中のクレメンタインであって、本人としての存在はお話の最初と最後くらいしか出てきません。長いつきあいの中で、わすれかけていた様々な感情がよみがえって、いろいろなことで隠されていた自分の本当の気持ちに気づくというわけ。つまりカップルになる過程を描くわけではなく、既にできあがって難しい時期になった二人それぞれが大事な物を見つけるお話。

最後の落ちも何回かひねりがはいって「いや、そこまで説明しなくても」という気分になりましたが、これはおそらく観客層を考えてのことなのかなと見終わってから気づきました。というのも44人なので、観客の客層はほぼ把握できたのですが、夫婦者は私たちだけで、あとはカップルか大学生の女の子二人組、たまにおばさまが一人で、という構成。封切りの当時はどうかわかりませんが、宣伝の感じとジムキャリー&ケイトウィンスレットということで、見に行った大半の人は学生カップル、あるいは未婚の女性が多かったのではないかと思われます。つまり、長い間一緒にいることでおきる2人の人間の間に起こる摩擦とか、ただそこにいることの幸せとか、自分が自分でいることの大事さとか、そんなものを二人の行動から共感するという年齢層ではないんだろうなあ。だからかなり明示的にその後の二人を描写することで、理解を求めているのかな。私の印象では最後の方はかなり蛇足に感じました。事実、隣のカップルはあきらかに「あ~、なんかはずれだった」という雰囲気を醸し出していたし、デートに見るには向いていないんだろうなあ。まあ脚本が「マルコビッチの穴」のひとで、監督が「ヒューマンネイチャア」のひとなんんだから、デート向きでないのは明らかですが。

主役二人のまわりで展開するエピソードはかなり陳腐な感じで、まあだからこそメインの話が浮かび上がるのですが、ちょっと漫画っぽいかな。なんだかぬめぬめとしたパンツ泥棒兄ちゃんのイライジャウッドと眼鏡のオタクのマークラファロが妙にはまっていて、気味悪かったです。キルスティン・ダンストはなんかなあ、あんまり良くなかったかも。私の好みの問題もあるのかもしれませんが、なんか中途半端な感じ。そしてトム・ウィルキンソン(「フルモンティ」で失業したのを奥さんに話せなかったおじさんの役をやった人)は相変わらず奥さんに頭のあがらない、おじさん役です。この4人が主な脇役なわけですが、有名どころを使っているのは少々もったいない感触。SFXとかあんまり使っていないから、ギャラに予算が使えたってとこなんでしょうか。

ジムとケイトはさすがの演技で、光っております。ジムがストーリーの先導役ではあるのですが、ケイトの存在感で五分にわたりあっているし(というかケイトの方が押している)、時たまはっとさせられる表情がでて、いいですね。ジムキャリーも、今回は顔をゆがませずにちょっと暗めの青年を演じてます。この人はお笑いのセンスもすごいけど、こういう役もいいよね。時折みせる、遠くを見る眼が切ないです。

長くなっちゃったので、食べ物編は次回に。
記憶を消す装置にはやはりぷっと吹き出しました。ありえないだろ~それは。

エターナルサンシャイン ~食べ物編

米軍御用達クッキー チョコチップ チョコレートチップクッキーミックス 骨付きフライドチキン ■フライドチキンシーズニング100g缶 コールマン ポリライト50CH [482749] 
忘れないうちに食べ物編も。映画館で一度見ただけなので、うるおぼえなのですがあんまりたくさんは出てこなかった気がします。記憶をたぐり寄せるとき、その日の夕飯に何を食べたか思い出すというのはよくやる手段で、食べ物は比較的記憶につながるものだと思うのですが、そういう記号としては使われていませんでした。

中華料理屋でまずそうに食事をする二人~あれはイカなのかチキンなのか?
だんだん二人の仲がぎくしゃくしてくるところで、二人で黙りこくって食事をするシーンがあります。口をひらけば、石けんに髪の毛がついているのががまんならないとか、相手のイヤなところを並べまた黙りこくる。その間、箸使いもたどたどしく、不器用に(やっぱりまずそう)食べているのがなにか中華の炒め物。野菜とイカあるいは鶏の塩味ベースの炒めだと思う。ニューヨークの設定だからどちらも有りだと思うけれど、ジョエルが選ぶとすればチキン、クレメンタインが選んだとすればイカなんじゃないかなあ。と考えるとイカのような気がしますね。どちらにせよそんなシーンなので、うまそうとは思えません。

小さい頃のトラウマ ~チョコチップクッキー
消す前に思い出す様々な思い出の一つに、お母さんに愛されなかった少年時代がでてきます(このあたりも妙に説明的な設定でかえって笑えるのですが)。テーブルにのった大きなアメリカンタイプのチョコチップクッキー(スターバックスのクッキーや、ステラおばさんのクッキーのような直径10センチ超のクッキーを想像してください)をジョエルがほおばっています。美味しそうだけど、あの強迫的にきれいな台所なら、きっとチョコチップクッキーミックスで作ったんだろうなあと想像。

ピクニックのチキン ~フライドチキン
パーティの苦手なジョエルが、浜辺でのピクニックのようなパーティでひとりはじっこでさらに盛られたパーティフードを食べている。なんか適当なサラダとフライドチキン。ケンタッキーのチキンよりは、自家製の粉が吹いたような感じの揚げ具合。すっかり冷めて美味しいのかどうか。そこにクレメンタインがやってきて声をかけ、「そのチキン頂戴」とかってにフライドチキンを皿からとって食べてしまいます。その食べている様子からもそんなに美味しいものではなさそう。きっと昔日本でもはやったフライドチキン用スパイスを衣にしてあげたんだろうなあ。ぱさぱさしていそうです。サラダもなんか切っただけのグリーンサラダ。

と、そんなわけで「おいしそうなもの」はあんまり出てきませんね。つくるとしたらチョコチップクッキーかな。でも多分再現ということならば、クッキーミックスを作り方通りに作るというのが正解な様な気がするので、あんまりおもしろみはないかもね。

エターナルサンシャイン ~食べ物編

米軍御用達クッキー チョコチップ チョコレートチップクッキーミックス 骨付きフライドチキン ■フライドチキンシーズニング100g缶 コールマン ポリライト50CH [482749] 
忘れないうちに食べ物編も。映画館で一度見ただけなので、うるおぼえなのですがあんまりたくさんは出てこなかった気がします。記憶をたぐり寄せるとき、その日の夕飯に何を食べたか思い出すというのはよくやる手段で、食べ物は比較的記憶につながるものだと思うのですが、そういう記号としては使われていませんでした。

中華料理屋でまずそうに食事をする二人~あれはイカなのかチキンなのか?
だんだん二人の仲がぎくしゃくしてくるところで、二人で黙りこくって食事をするシーンがあります。口をひらけば、石けんに髪の毛がついているのががまんならないとか、相手のイヤなところを並べまた黙りこくる。その間、箸使いもたどたどしく、不器用に(やっぱりまずそう)食べているのがなにか中華の炒め物。野菜とイカあるいは鶏の塩味ベースの炒めだと思う。ニューヨークの設定だからどちらも有りだと思うけれど、ジョエルが選ぶとすればチキン、クレメンタインが選んだとすればイカなんじゃないかなあ。と考えるとイカのような気がしますね。どちらにせよそんなシーンなので、うまそうとは思えません。

小さい頃のトラウマ ~チョコチップクッキー
消す前に思い出す様々な思い出の一つに、お母さんに愛されなかった少年時代がでてきます(このあたりも妙に説明的な設定でかえって笑えるのですが)。テーブルにのった大きなアメリカンタイプのチョコチップクッキー(スターバックスのクッキーや、ステラおばさんのクッキーのような直径10センチ超のクッキーを想像してください)をジョエルがほおばっています。美味しそうだけど、あの強迫的にきれいな台所なら、きっとチョコチップクッキーミックスで作ったんだろうなあと想像。

ピクニックのチキン ~フライドチキン
パーティの苦手なジョエルが、浜辺でのピクニックのようなパーティでひとりはじっこでさらに盛られたパーティフードを食べている。なんか適当なサラダとフライドチキン。ケンタッキーのチキンよりは、自家製の粉が吹いたような感じの揚げ具合。すっかり冷めて美味しいのかどうか。そこにクレメンタインがやってきて声をかけ、「そのチキン頂戴」とかってにフライドチキンを皿からとって食べてしまいます。その食べている様子からもそんなに美味しいものではなさそう。きっと昔日本でもはやったフライドチキン用スパイスを衣にしてあげたんだろうなあ。ぱさぱさしていそうです。サラダもなんか切っただけのグリーンサラダ。

と、そんなわけで「おいしそうなもの」はあんまり出てきませんね。つくるとしたらチョコチップクッキーかな。でも多分再現ということならば、クッキーミックスを作り方通りに作るというのが正解な様な気がするので、あんまりおもしろみはないかもね。

2005年05月11日

体の贈り物 (レベッカ・ブラウン)

体の贈り物
体の贈り物
posted with amazlet at 05.06.01
レベッカ ブラウン Rebecca Brown 柴田 元幸
新潮社 (2004/09)
売り上げランキング: 32,597
通常24時間以内に発送

Category: 文芸
Story: 死を間近にしたエイズ患者の世話をするソーシャルケアワーカーとして働く「私」の語る人々の心と最期の日々

Comment: 本屋でなにげなく平積みの本を手にとって、ぱらぱらとめくったら気になってしまい、レジに走った本。ハードカバーで買ったんだけど、実はもう文庫になっていたんですね。でも、この本はハードカバーで読んで良かった気がします。上記のリンクは文庫版です。

訳者も後書きに書いているとおり、このあらすじをみて、「ちょっとかんべんしてほしい」あるいは「きっと陳腐な話だろう」と思う人は多いと思う。私もあらすじをまず最初に読んでいたら、きっとこの本は手に取らなかっただろう。でも、これを読み始めてすぐ良い意味で「これは何か違う」と思った。

この本の構成は短編連作の形で、11本の「~の贈り物」と題するお話からなり、全体としてもひとつのストーリーになっている。登場するいろんなタイプの患者とその人生。それに最大限の努力であわせようとつとめるが、徐々に自分のなかの何かを消費していってしまう「私」。そのすべてのストーリーは急激であれ、ゆっくりとであれ、あともどりできない死への道筋。しかしそこにあるのは決して恐怖や嫌悪だけではなくて、ただそこに人がいるだけである暖かいものがある。ある意味救いのないストーリーだが、そのタイトルのとおり、各短編には間違いなく、癒やしや許し、感謝がある。これは決して患者に対するものではなく読んでいる読者への贈り物だ。

読み終わった時の感覚はただ切ない気持ちだった。よくある感動と銘打ってあるような難病ものを見たときの切なさではない。問題作を読んだときのどんと腹にくる重さでもない。ただ、なにかちょっと季節はずれの風を感じるような、そんな感じだ。全般に透明感のあるシンプルなストーリーと文体(英文は読んでないのでわからないが)で、不思議な清潔感がある。でもそれは、すこし冷たくて乾燥した、生き物に必然のぐちゃぐちゃとした湿り気を失った、死を前にした人の手の手触りに似ている。

液体窒素料理法

今日は都内に出かけるのに、何も手持ちの本がなかったので、キオスクでめずらしくBRUTUSを買った。

http://www.brutusonline.com/index.jsp

今号の特集はその名も「21世紀料理教室!」。
表紙にあるタイトルの一つに「ダニエル・ガルシアの液体窒素料理」・・・・??なんだそりゃ。
あまりに驚いたのでつい買ってしまった。で、中身を見てみると本当に液体窒素つかって料理をしている。最初に紹介しているレシピが「粒々マンゴー入りチョコレートスープ」。マンゴージュースを液体窒素に滴下することで、マンゴーの粒々を作っているわけ。そのほか本来なら凍らないものを凍らせることで、不思議な料理を作り出しています。おいしいのかね、これは。

その手の研究室のおつとめの方ならば簡単に材料が調達できるよなあ。しかし、やはり料理用の液体窒素が無い以上、直に食品を入れるのは抵抗があるなあ。普段仕事でつかっている用途を考えるとまた食品には使いにくいし。

なにより、取り扱いがやはり大変だよね。まあなれれば問題ないけれど、この特集をみて、あまり心得のない方が不用意に使ったりしないだろうか、ちょっとばかり気になりました。「危険度は天ぷらの油と変わらない」とおっしゃっていますが、間違っててをつっこんで指の先がおちたなどの伝説がどこの研究室にも伝わっていることを記しておきます。だって、バナナで釘が打てるどころの騒ぎじゃないのだ。大やけどです。

こんな人もいらっしゃいました。
http://www.exp.org/nitrogen/nitrogen.html

2005年05月18日

シネマ・コラージュ (中川清美)

シネマ・コラージュTitle: シネマ・コラージュ(ブルースインターアクションズ)
Author: 中川清美
Category: イラスト 映画エッセイ
Contents: 雑誌「装苑」に連載されていた映画に出てくるモードを中心としたイラストエッセイ

Comment: あざやかでキュートなイラストが楽しい本です。特に着るものに興味のある方は楽しめるはず。映画のチョイスもハリウッド映画というよりは、単館上映や文芸風など映画ずきの人のうれしいラインナップ。食べ物についても結構記述があって、「幼なじみ」ではアプリコットタルトの作り方が載っているし、「ヘドウィグアンドアングリーインチ」では例のハリボーのクマのかっこしたグミ、「ショコラ」ではチョコレートソースの作り方、「ショーミーラブ」ではアイスココアの作り方が載っています。
 そんなわけで、観てから読んでも、読んでから観ても楽しめる、ちょっと時間の空いたときにお茶を飲みながら眺めて和むのにちょうどいい本でした。

2005年05月23日

仙台に行ってきました

  

いよいよ学会シーズンスタートというわけで、先週は仙台に行ってきました。仙台に行ったのは本当に久しぶりだったのですが、今や我が家から2時間で仙台にいけることに驚きました。大宮の次の駅が仙台ですよ。ちなみにその次の停車駅は盛岡、寝過ごしたら大変です。

会場は仙台国際センター(写真左)。仙台駅からはアクセスがよくないので、この会場はいろんな学会で不評のようですが、青葉城のすそにあってまわりは緑に囲まれたいいところです。学会の合間に、青葉城跡にもあがってきました。確かに結構な坂ですが、そんなに距離が無いので気軽にあがれます(しかしそんなことしている人はほとんどいなかった)。
ちょうど会場のむかいが博物館で、その脇の小道をたどっていくと青葉城の酒蔵跡やら、門の跡を通って本丸までいけます。途中はいい感じの緑の山道で(写真中)、学会で飽和気味の頭をほぐしてくれます。
がんばって坂を上がっていくとようやく巨大な石垣が見えてきます(写真右)。普通はバスであがるところなので、バス停はバスを待つ団体さんで大混雑。

   

で、その石垣の上から市内が一望できます。結構天気が良かったので、かなり見渡せました。で、定番の正宗像をパチリ。一応ここにきたからには、これをとらないとなと。あとは適当に護国神社を見て回って、おしまい。名物らしき「ずんだシェイク」を売っていたので、飲んでみた。昔のマックのシェイク並みに吸えない。堅めのソフトクリームをそのまんまカップにいれたような感じ。たまにつぶつぶとずんだ(枝豆)のかけらがでてくるっていうくらいの混合率。まあ、普通に美味しかったです。

お仕事の方はまあいつものように発表して、いろんな人からコメントをもらえてなかなか有益な時間でありました。友人に会って、大酒を飲んで大騒ぎはいつもの事ですが、牛タンはなかなか美味しかったです。お土産にも買って帰ったけど、家で食べてもそれはそれで美味しいものでした。なかなか楽しかったですが、明日から通常営業に戻れるかどうか不安に感じる今日でした。

仙台自分用土産

ジャック・タチの映画的宇宙
遠山 純生 坂尻 昌平
エスクァイアマガジンジャパン (2003/07)
売り上げランキング: 236,824
通常2~3日以内に発送
今回の学会は2泊3日だったのですが、2泊目の夜は特に人と約束がなかったので、ぶらりと仙台の街に出ました。ぼんやりと歩いているとなにやらモダンなガラス張りの建物。「仙台メディアテーク」という図書館とギャラリーの一緒になったようなものらしい。1階にアート系の本屋が入っていたので、映画の棚を物色すると「ジャックタチの映画的宇宙」と「weird movies a go! go!」というコメディ映画の本を見つけたので、自分用のお土産に購入。ついでにレターセットも購入して、同じく1階に入っているカフェに入って手紙を書くことにする。

カフェで席につくと、ベルギービールが一杯のビールのリストの入ったメニューで今サーモンのキッシュが焼きたてですとのこと。ビールとつまみで夕飯にすることにした。
カフェのサイト: http://www.brussels.co.jp/TOP/top.html
飲んだのはヒューガルデン ブロンシュ (Hoegaarden Blanche)。ちょっと酵母くさいけど、なかなか美味しかった。ナッツとキッシュをつまみにのんびり手紙を書き、本を斜め読みして、久しぶりに自分一人の時間を楽しむ。たまにはこういうのも気楽でいいよね。

どうやら東京にも同じ系列のカフェが有るみたいなので、またベルギービールを飲みにいきたいなと思っているところです。あのリストを全部飲んでみるっていうのは時間がかかりそうだし。新しい楽しみを見つけた気分。

2005年05月27日

旅行者の朝食 (米原万里)

旅行者の朝食
旅行者の朝食
posted with amazlet at 05.05.31
米原 万里
文芸春秋 (2004/10)
売り上げランキング: 10,802
通常24時間以内に発送

Category: 食べ物エッセイ
Contents: ロシア語通訳者である著者の食べ物にまつわるエピソードとエッセイ。ウォッカの発明からちびくろサンボのホットケーキまで。

Comment: 米原万里さんの本といえは「ガセネッタ&シモネッタ」。本屋に並んでいたときに、立ち読みしたけれど、何かの理由で買わずじまい。今回は食べ物に関するエッセイだと聞いて、これは買わねばといそいそと買い込みました。

さて、今回の本ですが、思わずにやりとするお話が満載。通勤電車でちびちびとよんで楽しめました。ジャガイモの普及やウォッカの謎など歴史をバックグラウンドにしたお話も面白いけれど(ちょっと理屈っぽく感じる向きもあるかとおもいますが)、私のつぼにはいったのはやはり表題にもなっている「旅行者の朝食」の話。ロシアの小話には熊がずいぶんでてくる話に始まって、謎が解明されるまで思わずにやりとするシーンが山盛りです。この話はネタをばらしてしまうとつまらないし、面白く説明なんてできないので、「旅行者の朝食」って???と思った方は是非よんでみてください。

それから「トルコ蜜飴の版図」のお話もお気に入りです。小さい頃に食べさせてもらったお菓子ハルヴァを求めて、いろんな物をためして、似たようなお菓子から文化圏の広がりを感じるというお話なのですが、ホントに文で読んでるだけなのに「絶対食べてみたい!」と思わせられます。トルコ蜜飴と聞いて私は瞬時に「ターキッシュデライトでしょう?すっごい変な味の」と思ったのですがどうやらそれはイギリス文化圏の発想のようで、似たような菓子が違う名前で、または同じ名前で違った菓子がロシアからギリシャ、トルコ中東に至るまでいろんなところに分布しているらしい。そのじわじわと少しずついろいろなことがわかってくる道のりが、とても楽しく、一緒になってどきどきさせてもらえます。その話をきいている友人たちがいろいろなところからそう思われるお菓子を買ってきてくれるなんて、いいよなあ。

2005年05月31日

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。 (高山なおみ)

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。
高山 なおみ
ロッキングオン (2001/04)
売り上げランキング: 4,352
通常24時間以内に発送

Category: エッセイ (料理のエッセイではない) レシピ付き
Contents: 夢でみた情景を中心に日々の思いを綴ったエッセイ。暗め。
Comment: 以前諸国幻想料理店で紹介した高山なおみさんのエッセイ。自分の中に沈み込んでいくような内省的?エッセイなので、好みがわかれるところでしょう。ご本人もあとがきで書いているように、いろいろと不幸なことが重なった1年のころということなので、死や老化、病のイメージが蔓延していて、ちょっと神経をかりかりと引っかかれるイメージです。特にまぶたに見える網状の模様の話とか、私が低調なときに気になるいらいらの元(このイメージにとらわれると、しばらく指と手の甲がちりちりして、脳みそにすがいったような感覚に陥る)を再体験させられて生理的にはちと堪えた本でした。しかし最初の「プロローグ」、まさに「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ」は自分の父が亡くなったときのことをまさに思い出してしまって、この章を立ち読みで読んだ瞬間にこの本に捕まってしまった感があります。

彼女の本にはよく映画がでてきて、その中の食べ物が紹介されています。今回も『四月物語』のカレー、『グレン・グールド 27歳の記憶』のビスケットなどなど、それだけで映画を見てみたい、食べてみたい気にさせてくれます。ビスケットはレシピも載っていることだし、そのうち作ってみますかね。

amazlet導入してみた

うちのエントリーは何かと本の紹介が多くて毎回ぺたぺた貼り付けるのは面倒だったのですが、アマゾンの個別リンクはなんかデザインが嫌いで、地道にぺたぺたしていたわけです。が、今朝やっぱり面倒じゃ!といきなり思い立ち、amazletを導入。色々情報もおまけでついてきますが(もちろん絵だけとかテキストだけも選べるのですが、いくつかデザインを変える必要があるので、ランキングや値段がついていてもまあいいかと思っている)とりあえず、こんな感じでよろしいかなと。作業的にはかなりらくちん。早く導入すべきでしたね。自分のサーバーに絵をいっぱいアップしておくのもじゃまなので、過去の分も順次変更していこうかなと思っています。

読む方は前と一緒。絵やタイトルをクリックすればamazonのページへ、amazletをクリックすればamazlet.comのページに行きます。amazlet.comはamazonのプログラムを利用したショッピングサイトですが、関連書籍がどどーんといっぱいでてきて面白いところでもあります。一度おためしあれ。

しかし売り上げのランキングって微妙。意外な本が売れているんですね。ぶくろぐ(右のkonamaの本棚からこれまで紹介した本が本棚にならんだようなビジュアルで見られます。もちろんここでも購入可能)で、この本を掲載している人の数っていうのが見られるのですが、自分のアップした本があんまり他の人とかぶらないのはいつも驚きです。そんなに変な趣味かしら。

ちなみに以下は先日買った高山なおみさんの本。下の「帰ってから~」の関連商品としてもamazletに掲載されています。この本はお肉やお魚なし、あるいは少なめの野菜料理が載っているのでなかなか重宝しています。これもなかなかランキング上位ですな。

野菜だより―季節のいきおいを丸ごとたべる
高山 なおみ
中央出版株式会社アノニマ・スタジオ (2005/04)
売り上げランキング: 630
通常24時間以内に発送

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