文芸春秋 (2004/10)
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Category: 食べ物エッセイ
Contents: ロシア語通訳者である著者の食べ物にまつわるエピソードとエッセイ。ウォッカの発明からちびくろサンボのホットケーキまで。
Comment: 米原万里さんの本といえは「ガセネッタ&シモネッタ」。本屋に並んでいたときに、立ち読みしたけれど、何かの理由で買わずじまい。今回は食べ物に関するエッセイだと聞いて、これは買わねばといそいそと買い込みました。
さて、今回の本ですが、思わずにやりとするお話が満載。通勤電車でちびちびとよんで楽しめました。ジャガイモの普及やウォッカの謎など歴史をバックグラウンドにしたお話も面白いけれど(ちょっと理屈っぽく感じる向きもあるかとおもいますが)、私のつぼにはいったのはやはり表題にもなっている「旅行者の朝食」の話。ロシアの小話には熊がずいぶんでてくる話に始まって、謎が解明されるまで思わずにやりとするシーンが山盛りです。この話はネタをばらしてしまうとつまらないし、面白く説明なんてできないので、「旅行者の朝食」って???と思った方は是非よんでみてください。
それから「トルコ蜜飴の版図」のお話もお気に入りです。小さい頃に食べさせてもらったお菓子ハルヴァを求めて、いろんな物をためして、似たようなお菓子から文化圏の広がりを感じるというお話なのですが、ホントに文で読んでるだけなのに「絶対食べてみたい!」と思わせられます。トルコ蜜飴と聞いて私は瞬時に「ターキッシュデライトでしょう?すっごい変な味の」と思ったのですがどうやらそれはイギリス文化圏の発想のようで、似たような菓子が違う名前で、または同じ名前で違った菓子がロシアからギリシャ、トルコ中東に至るまでいろんなところに分布しているらしい。そのじわじわと少しずついろいろなことがわかってくる道のりが、とても楽しく、一緒になってどきどきさせてもらえます。その話をきいている友人たちがいろいろなところからそう思われるお菓子を買ってきてくれるなんて、いいよなあ。