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Category: 短編連作
Story: 親の借金のおかげで、がんばって合格した高校にも行けずじまい。なんで私がこんな目に…と内心つぶやきつつ照子は遠い親戚がいるらしい埼玉のささらにやってきた。前作「ささらさや」と同じ舞台で起きる、不思議な出来事。
Comment: 加納朋子さんは私の大好きなミステリー作家で、ななつのこ、魔法飛行、掌の中の小鳥など、ほんわかした中のさりげないミステリーが素敵です。今回の「てるてる、あした」は厳密に言えばミステリーではないのでしょうけれど、さまざまな謎がちりばめられた不思議な、暖かなお話です。前作の「ささらさや」と同じ登場人物、場所で、同じようにちょっとつらいテーマをあつかった作品ですが、それでも読んだ後は、とてもほっとした気持ちにさせられます(途中泣きそうなところもあるけれど)。
今回のお話は母親に愛されていないのではないかと恐れる照子が、自分の足で立って、自分から働きかけることを知る、そんなお話。相変わらず、幽霊らしきものが登場して、なぞを色々とちりばめてくれますが、意外な展開ではありません。
ある種のおとぎ話ではあるので、都合の良さや現実感のなさみたいな物が鼻につく場合もあるかもしれませんが、ラストに行き着くまでの細かい設定で私は気になりませんでした。いつもこの人のお話はストーリーを展開してまとめるその完成度が高いなあと思います。
Category: エッセイ、旅行記?
Contents: 二度目の南極越冬隊に参加した料理担当西村隊員とおっさんばかり9人の昭和基地からも離れた-70℃の世界で過ごした一年間。
Comment: かなり面白くてさ~っと読めてしまいました。陽気な酒好きおじさんの西村氏を初めとして個性的な隊員たちの、日本だったらいとも簡単にできることをアイディアと根性、チームワークで乗り切る暮らし。料理も材料の調達(そもそも-70,80で保存出来るものばかりをえらばなくちゃならない)からはじまって、予想だにしないアクシデントや、忘れ物。それらをスポコンみたいながちがちさではなく、まあなんとかなるよ的にかわして解決していくお話は楽しくちょっとほろりとさせられます。でてくる食べ物もなかなか豪華で、食べたくなること請け合い。楽しい本でした。
ちょっとわらったのが、南極で観る映画の話で「遊星からの物体X」があまりに状況が似すぎていてしゃれにならんので一度かけたっきり再上映しなかった話。そうだよなあ。そういう設定だもの。
私も小さい頃はこういう研究(極限状態での研究とかそこで使う物の開発)もいいなあと思っていた(宇宙服や宇宙食の開発とか面白そう)ことを思い出して、ちょっと遠い目になってしまいました。
ロンドンにやってきて、なんやかんやと3日目。インターネット環境やらなにやら整えつつ、地味に仕事を進めています。今回は日本から携帯を持ってきたのと、ワイヤレスネットワークが簡単に使えたことで、いつもの出張にくらべ、非常に日本からの連絡やら仕事の引き継ぎが楽で、時代は進んでいるなあとひとり納得しています。
今日は土曜日で、仕事は休みにしようかと思っていたのですが、相方が仕事に出かけてこちらもそうのんびりしている気分ではなく、相変わらず地味に仕事をしています。とはいえ、少しのんびりムードなのは確かで(お店もすいているし)、今日はこれからいくつか専門書の品揃えが充実していそうな本屋をのぞいて、なにかいい本はないか見て歩こうかなと思っています。
仕事の進みが遅いのはちょっといらつきますが、それなりに楽しく過ごしているロンドンですが、一つ問題が…。今回はなんだか知らないけど、時差ぼけがひどい。いつもは飛行機で寝ずにながーい一日を起きてすごして、調節してしまうのですが、今回へたに眠れてしまったせいか、夜9時には眠くなって、朝4時にぱちっと目が覚めます。何だかなあ。仕事の時間には影響ないけど、夜ご飯食べて帰ってくるとぱたんと寝てしまう状態はどうなんだろう。
まあ何とかなるでしょう。明日昼寝でもして調整しましょう。
今日は日曜日で、仕事はお休みにしてちょっとおでかけ。以前からいってみたいとおもっていたハムステッドヒースにいってきました。泊まっているあたりからバスで約25分。なかなかおだやかでいい感じのところでした。で、ハムステッドヒースといえば、時代物の映画撮影によく使われるケンウッドハウスというのが有名(写真)。最近ではノッティングヒルの恋人でヒューグラントが恋人の女優アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)の仕事場に会いに来るシーンでもつかわれています。
結構ハムステッドヒース(そのものは大きい公園のようなもの)は大きくて、この建物にたどり着くまで結構かかりました。くたびれたのでにティールームに入ってお茶とピーカンパイで回復。なかなか楽しかったです。
入館証を作るのにと思ってあらかじめ大学からの英文の紹介状を持ってきていたので手続きはわりとスムーズでしたが、現住所を証明するものを出せといわれてはたと困ってしまいました。パスポートは住所書いてないし…おそるおそる日本語の運転免許証をだしたらそれでいいとのこと。読める係員がいるから大丈夫なんだそうな。まあそりゃあそうだろうけど、ちょっと驚きました。興味本位の一見さんをさけるためか、学問関係以外の人の手続きはちょいとめんどくさそうでしたけど、大学関係者ということですんなり3年間有効のパスをもらえてよかったです。
しかし観光客?がくるようなところなのかここは?と思ったのですがカフェなんか確かにそれっぽい人も多い。旧館の方ならまだしも(あるいは大英博物館にある超豪華リーディングルームとか)、やたら荷物検査の多い新館になんでまたくるんだろうと首をひねっていたのですが、どうやら建築とかデザインに興味のある人も多いようです。なるほど。
荷物は不法持ち出しをふせぐため透明なビニル袋に入れてあり、かつ紙類はしっかりチェックされます。たぶんページやぶっての持ち出しなんかも警戒しているってことなんだろうけど、書きかけの論文の原稿まで一枚一枚みられてちょっと恥ずかしかったです。
というわけで、大英図書館初利用は無事終了。静かで仕事もはかどったしなかなかよいところでした。しかし蔵書数が多すぎるので、便利かといわれるとはっきりいって本を探すのは面倒だと思います。まあふつう私の分野の人は使わないよな。まあ機会があればまたあの快適な机を使いに行ってきたいなあと思います。
結局たまには違う店を開拓しようと、近くの少しお値段安めの小さいお店に入りました。お値段なりに食器はプラスティックだったりするのですが、二人用の小さなコースがあったのでそれに決定。いつも中華にいくときは大人数で適当に食べたいものを頼む方式なのですが、二人だしそんなに大盤振る舞いしなくていいし…ということで滅多に食べないコースを選んだのでした。どんぶりものみたいのでもよかったんだけど(ダックウィズライスとかいうと、北京ダックのスライスがのったご飯とか出てくる)、そうするとご飯が本当に山盛りで絶対途中で飽きるので。
今回のヒットは牛肉と白菜の炒め物。中華料理としてどうかと思うんだけど油通ししてないのですっごくさっぱり。胃にやさしくてほっとしました。全般に油の少ないお店で、なかなかよかったので今度少人数でくるときはひいきにしようと思ったのでした。
そういえば帰りに中華街の雑貨屋をのぞいたら、アジア製品が所狭しとつまれていてカルピスウオーターまであったのには驚きました。コアラのマーチがうっていて「小熊餅」と名前がついていてちょっとかわいかった。
イギリスにずいぶん住んでいたのに、実はマダムタッソーの蝋人形館にいったことなかったんだよね。あほくさいのはわかってたんですが、まあちょっといってみようかなと。というわけで、噂の新装ロビーウィリアムスも見てきました。入ってすぐの特設ステージでみんな写真とりまくりでした。なんとなく東京タワーの蝋人形館みたいにさわれない柵の向こうにあるようなものだと思ってたんだけど、部屋にふつうにぽんぽん(ところによりぼこぼこと)人形がたっていて、さわったり記念撮影したり大騒ぎ。思ったより楽しかったです。中国人の観光客の人が国家主席と肩くんで写真とっていたのがちょっとシュールでしたけど。最後にプラネタリウムがついていて、その上映がかなり楽しかったのでかなり高い入場料ではありましたが、まあいいかなと自分を納得させています。
で、この写真は食べちゃったあとなのですが、どのへんがアイリッシュナイトなのかというと、中央の楽団に注目。なにやらバイオリン、ギター、ドラム、アコーディオンで、アイルランド音楽を奏でてくれたわけです。ご飯もアイリッシュなのかと思ったんだけど、出てきたのはふつうのイギリス料理だった(本当はアイリッシュなのかもしれないが、差がよくわからん)。メニューはキノコのパテのサラダ仕立てみたいな前菜(ミニトマトを半分に切った上にバルサミコ酢がかけてあったのは、今度まねしてみようと思った)、ジャガイモのスープ、鮭に魚のムースを乗せて、パイ皮で包んで焼いたものにパースニップのマッシュとジャガイモのマッシュ、スイートスナップピー少々。デザートにプリンみたいな味のムースイチゴ添え(これは死ぬほど甘くてつらかった)。で、コーヒーでしめ。まあそんなにがんばっていない時のカレッジの正餐って感じかな。量はかなりあって辟易しましたが。
で、ナイト?のはてなが示すものはお料理のこともあるんだけど、この音楽。主催者がいろいろ考えてくれたのはいいのですが、こんな天井が高くて響きまくるホールで、打楽器が入った音楽をスピーカー付きで演奏したらどうなるのか…もちろん話はできませんね。結果みんなわりとすぐ帰っちゃったんだよね。やっぱり学会のバンケットは知らない人や久しぶりにあった人と友好を深めるのが目的だから、話ができないんじゃしょうがない。そんなわけで、なぜかアメリカ人なのにイギリスに10年以上いるおっちゃんとセイシェルからきた留学生の兄ちゃんとしょーもない話をしてバンケットは終了。まあ楽しかったからいいかな。
で、せっかくダブリンにきたのに、何も見ないで終わるのもつまんないので、午前中のセッションを聞いた後、ギネスの工場とジェイムソンの醸造所を見てきました。写真はもちろんギネスの工場です。どちらも結構たのしかったですし、特にギネスの工場は最上階の展望バーでギネスが飲める(入場料払ってれば、一杯は無料)ので、なかなか楽しく過ごしました(ジェイムソンの方はツアーの最後に試飲ができる)。街はきれいだし、ちょっと寒いですがなかなか楽しい場所だと思います。でも本当はできれば街の外にいってウォーキングとかしたかったなあ。やっぱりアイルランドは自然がすばらしいので(ツアー用の写真がまたきれいなんだ)、今度はぜひ田舎の方にきたいなあと思ったのでした。
そんなわけで明日はながーい飛行機の旅。ロンドンまで1時間半のって、さらに乗り換えて11時間。もう一がんばりです。次回の更新は日本からになると思います。旅行中も皆さんコメントや拍手ありがとうございます。おかげで楽しく過ごすことができました。