おいしい推理小説
このところ映画や小説のお料理に興味津々のkonamaですが、最近なんだかやたらとおいしそうなものが出てくる芦原すなお氏の「みみずくとオリーブ」「嫁洗い池」を読んでおります。芦原すなお氏といえば思い浮かぶのは「青春デンデケデケデデケ」ですが、このしゃれた短編推理の連作は特に気に入りました。八王子の郊外(うちの近所なのでなんとなくうれしい)に住んでいるやたら世間に疎い作家とその奥さんのお話で、名探偵はお料理上手でもあるその奥さんです。作家である旦那さんの友人の警察官河田氏の持ち込む事件をおいしい手料理でもてなしつつ、(旦那はひたすら話しを混ぜっ返しつつ)聞き、現場には旦那が出かけて奥さんの指示どおり観察して話しを聞いてくる。それを聞いて奥さんが謎解きするというパターンがずっと続きます。その間に二人のなれそめやら、同窓会やら織り込まれて、なにやらいい感じのストーリーができあがっているわけです。個人的には推理の部分はちょっとなあと思うところもおおいですが、お話とその雰囲気がとても気に入っています。
友人の河田氏も含めてどうやら四国の出身ということになっているらしく、出てくる料理はいりこベースの郷土料理。わりと揚げた料理が多いような気もしますが、おいしそうでやってみたくなる料理がいっぱいです。でもおそらく新鮮なお魚がないとだめな気もしますが。たとえば、すごくおいしそうなのが「さつま」。本の中では焼いたカマスをすり身にしてみそを混ぜてだしでのばしたものでそれをご飯にのせて食べるらしい(薬味をのせる)。それにするめの唐揚げ(これはできそう)。から付きエビと大根の煮物や、メバルと葉ゴボウの炊き合わせ、とろり牛すじの関東炊き(これは珍しく旦那が作っている)と本当においしそうなものがオンパレード。帰りの電車で読んでいるとおなかが減って困ります。旦那はさえない感じですが、そこここのせりふが可笑しくていい感じです。