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2005年02月 アーカイブ

2005年02月01日

おいしい推理小説


このところ映画や小説のお料理に興味津々のkonamaですが、最近なんだかやたらとおいしそうなものが出てくる芦原すなお氏の「みみずくとオリーブ」「嫁洗い池」を読んでおります。芦原すなお氏といえば思い浮かぶのは「青春デンデケデケデデケ」ですが、このしゃれた短編推理の連作は特に気に入りました。八王子の郊外(うちの近所なのでなんとなくうれしい)に住んでいるやたら世間に疎い作家とその奥さんのお話で、名探偵はお料理上手でもあるその奥さんです。作家である旦那さんの友人の警察官河田氏の持ち込む事件をおいしい手料理でもてなしつつ、(旦那はひたすら話しを混ぜっ返しつつ)聞き、現場には旦那が出かけて奥さんの指示どおり観察して話しを聞いてくる。それを聞いて奥さんが謎解きするというパターンがずっと続きます。その間に二人のなれそめやら、同窓会やら織り込まれて、なにやらいい感じのストーリーができあがっているわけです。個人的には推理の部分はちょっとなあと思うところもおおいですが、お話とその雰囲気がとても気に入っています。

友人の河田氏も含めてどうやら四国の出身ということになっているらしく、出てくる料理はいりこベースの郷土料理。わりと揚げた料理が多いような気もしますが、おいしそうでやってみたくなる料理がいっぱいです。でもおそらく新鮮なお魚がないとだめな気もしますが。たとえば、すごくおいしそうなのが「さつま」。本の中では焼いたカマスをすり身にしてみそを混ぜてだしでのばしたものでそれをご飯にのせて食べるらしい(薬味をのせる)。それにするめの唐揚げ(これはできそう)。から付きエビと大根の煮物や、メバルと葉ゴボウの炊き合わせ、とろり牛すじの関東炊き(これは珍しく旦那が作っている)と本当においしそうなものがオンパレード。帰りの電車で読んでいるとおなかが減って困ります。旦那はさえない感じですが、そこここのせりふが可笑しくていい感じです。

2005年02月02日

2月の映画

ずっとほったらかしでしたが、オフィシャルサイトリンク整理しました。2月の映画を追加しました。とはいえ今週末にもういくつかあくので、早く3月の予定もリストにしなくては。最近はリストにしても見に行く暇無しなので、ちょっと寂しいです。

2月の映画で気になっているのはタッチオブザスパイスとステップフォードワイフかな。後者はニコールキッドマン主演で、顔ぶれからいっても楽しめそうかなと。近いうちに3月分もアップしますね。とりあえず報告まで。

2005年02月08日

10000HITSに感謝

はっと気がついたらカウンターが10000超えてました。あーびっくりした。その大半は自分かもしれませんが、とりあえず多くの方に見て頂けたということを感謝致します。結構ずるずる長くやってるサイトでございます。最初にはじめたのが(そのころのサイト名はSweet or Salt)2002年10月となってますから、もう2年以上たつんですね。カウンタは最初からじゃないので、始めてからというわけではないのですが、皆様の長年のご愛顧に感謝です。

で、普通はこういう機会になんか企画をしたりするんでしょうけど、今のところ決まってません。すこしサイトのデザインをかえようかなあと思っていたりしますが、未定。DVD固め観レビューとか、映画グルメ日記充実など色々考えてはいるのですが。。。決まり次第発表ってことで。

2005年02月10日

Movie Dinner?

 

10000hits感謝企画ですが、やっぱり映画グルメということで、いくつかの料理本を参考に実際に料理を作ってみるということにしました。いずれ自分でレシピを考えるところまで行きたいですが、とりあえずは映画料理本を参考にやってみたいと思っています。が、しかし結構この企画は大変です。っていうのもせっかくだからその映画も見直したいし、へたくそな私が料理をしようってわけなので、企画自体かなりゆっくりペースで進むと思われます。

そこで映画料理本を探したところ、そんなにないんだよねこれが。さっき思いついて洋書を探したところ、数冊見つかりました。そのうちの2冊はアマゾンで購入予定(↑)。それぞれサイトがあって、レシピもいくつか紹介しているので、リンクを張りました。左のDinner & a Movie っていうのはどうやらアメリカのテレビ番組らしくて、その番組でシェフが作った料理のレシピが載ってるようです。
Dinner & a Movie - the show
ちなみに今週と来週放送予定のレシピが載っていて、来週はZoolanderにちなんだ"Cat-Wok"だそうです。『猫の中華鍋炒め』って感じですが、catはcatでもcatfish(なまず)を使ってるそうです。レシピをざっと見る限りでは砂糖と醤油で下味をつけたナマズのぶつ切りを野菜(アスパラガスや玉ねぎ)と炒めるお料理なので、甘辛な中華みたい。ちなみにレシピに「煙探知機の電池を抜く」というステップがあって(もちろん最後に戻すステップもある)結構笑えます。基本的に彼のお料理は映画に出てきた料理ではなく、映画に触発されて作った料理ということのようですが、楽しそうです。

右の本はむしろ映画にでてきた料理を再現する方で(もちろんすべてではないけど)、この著者はシェイクスピアのお料理を現代に再現するとか、そんな感じの歴史的な再現を得意とした方みたいです。なかなかホームページも美しくて楽しいです。
francinesegan.com
このページに載ってるレシピはテキサスイエロー”コールスロー”(黄色いリボン)と野菜のオーブン焼き(シュレック)なんですが、野菜のオーブン焼きのレシピはシンプル。野菜を切る、オーブンで焼く、塩胡椒、完成。でもかりっかりに焼いた野菜っていうのもおいしいかもなと思わせてくれます。


それから料理がへたくそなくせに我が家にはやたら料理本があるので、台所本棚と称して料理本コーナーを作ろうと思います。いくつか作ったものがあればそれも紹介しますが、私は料理本の小さじとか大さじとか守った試しがないので(よく代用品をつかうし)私の感想はその本のレシピ通りに作った場合と異なる可能性が大です。というわけで、新コーナーも含めた改装を企画中です。もちろん映画料理本からスタートします。

2005年02月11日

改装中

すいません、ちょっとスタイルファイルをいじっているので、しばらく奇妙なデザインが続きます。そのうち最終形にたどり着くはずなので、少しの間見にくいかもしれませんがご容赦ください。

2005年02月13日

ブラウニー (ノッティンヒルの恋人)

10000ヒット企画第一弾は明日がバレンタインということもあって「ノッティンヒルの恋人」に出てくるチョコレートブラウニーにしました。

Scene:街角でジュースをかけてしまった縁でデートすることになった本屋の店主ウィル(ヒューグラント)と映画スターのアナ(ジュリアロバーツ)は、ウィルの妹のバースデーパーティに参加する。友人宅で和やかにテーブルを囲んだディナーの最期はデザートにチョコレートブラウニーの皿が回される。ホスト役のマックスはパーティゲームに残った最期の一個のブラウニーは”この中でいちばん惨めなやつにあげよう”といいだし、各自いかに自分が惨めか説明を始める。

Point:そういえばブラウニーを食べるシーンがあったよなと思ったのは「シネマスイーツ」にノッティンヒルの恋人にでてくるスイーツとしてブラウニーが載っていたからなんですが、この本に載っているブラウニーの写真は上にピンクのチョコレートがかかっていて、アザランがかかってたのです。上のようなシーンだし、自宅でつくるブラウニーにそんなことしないよなあと思って久しぶりに映画を見直しました。で、じっくりみたところやっぱり上になんにもかかってないし、普通のブラウニーにくらべてかなり濃い焦げ茶色。おまけにくるみのしろっぽい影も見えない。ということはビターチョコレートがベースでチョコレートの割合が高いし、ナッツは使っていないか白っぽく見えないナッツを使っているんだろうなあと予想。ロンドン住まいの弁護士さん夫婦のディナーだし、ここはイギリス人の大好きなピーカンナッツでいこうと決めました。というわけで、以下が制作記。

今回参考にしたレシピはCoffee & bites (Susie Theodorou)の"perfecet brownies"。ですが、より映画に近い感じをだすためと日本の材料で作るため、また型のちがいなんかもあって、かなりオリジナルです。

Ingredients:
(18x18cmくらいの天板用)
ビターチョコレート  180g 今回はリンツの85%ビターチョコを使用。
無塩バター 130g
薄力粉 30g
ベーキングパウダー 大さじ1/2
卵 2コ
三温糖 110g
ピーカンナッツ 100g

How to make:
1.オーブンを170℃にしておく
  型にオーブンペーパーをひいておく
2.チョコレートを小さく割ってバターと一緒に湯煎にしてとかす(溶けたら少しさましておく)
3.粉類は併せてふるう。ナッツは荒くくだいておく。
4.卵を泡立て砂糖を少しづつ加えて固く泡立てる
5.チョコレートと粉を4に少しづつ交互に混ぜ合わせる。ナッツを加える。
6.型に流し込み、35分~40分焼く。焦げそうになったらアルミ箔をかぶせる。
7.焼き上がったら型に入れたままさます。あら熱がとれたら切れ目を入れ、型から出す。

Tip:
全卵2コの泡立てはできれば電動の泡立て器を使った方が良い。角が立つぐらいがベスト。
崩れやすいのでさめてから切ってとりだすこと。
ピーカンナッツが見つからなければクルミで代用。

Comments:
かなり濃いチョコレートな上にビターなので、かなり大人な味に仕上がりました。粉がかなり少ないレシピのせいか、かなり軽い口当たりです。ピーカンナッツの軽い歯触があっています。ディナーの後ちょっと食べるのにちょうどいいし、コーヒーにぴったり(Coffee & bites のおすすめはミディアムローストのコスタリカコーヒー)。甘いのが好きな人にはものたりないかも。

2005年02月15日

Coffee and bites (Susie Theodorou)

Title: Coffee and bites
Author: Susie Theodorou (Murdoch Books)
Tried:

コーヒーの基本的なお話とシチュエーション別(朝食、おやつ、食後など)のコーヒーに合うレシピがたくさん載ったレシピブック。英語ですが、難しくないので自分でお菓子を作る人ならば辞書なしで作れるレシピです(もちろんコーヒーに関するお話はしっかり英語ですから読むのは大変だと思いますが)。作り方も不必要に凝っていないので好感が持てます。メインはこの様々なコーヒーにあうレシピで、それぞれのレシピにどんなコーヒーがあうのかアドバイスがついています。ざっとみたところコーヒー好きの人には納得の比較的甘さの抑えられたレシピが多く(ですから甘いのがお好みでコーヒーが苦手という方にはおすすめできません)、定番のブラウニー、マフィン、クッキーの他ポップアップやタルト、パニーニやサンドイッチまで載っています。すべてとてもおいしそうな写真が載っていて作る気にさせられます。先日旅行したポルトガルで食べたエッグタルトもかなりオリジナルに近い写真とレシピが載っているので、いずれ作ってみようと思っているところ。

この本はイギリスに行ったときに買ったものですが、実は買おうと思った動機はレシピではなくてその写真。それもお菓子ではなくてコーヒーカップの写真でした。シンプルでホテル仕様のウェッジウッドみたいなしっかりしたカップをみて、これが欲しい!と思ったのです。いまだにそのカップは手に入れられていませんが、今もあこがれのカップです。

既に書きましたがこの本のレシピからノッティンヒルの恋人にでてくるブラウニーを作ってみました。が、先日ふと思い出したのがこの本を買ったところ。実はポートベローマーケット(まさにノッティンヒル)のはじにあるBook for Cookという料理本の専門店。縁があるよなーと一人感心していました。このBook for Cookは奥にティールームも併設した小さな料理専門の本屋さん。壁一面に料理の本が詰まっていて、ほかほかとした暖房の中、奥からコーヒーの香りが漂う本当に素敵な場所です。すごく小さいので見つけにくいし混んでいると本当に身動きとれないのが困ったところですが、店員さんも親切で時間があるといつもよるお店。また行きたいなあ。

2005年02月17日

ラブシーンの掟 (石川三千花)

Title: ラブシーンの掟 (文藝春秋)
Author: 石川三千花
Category: 映画イラストエッセイ
Contents: 「ラブシーンがいけてない映画は駄目な映画」をコンセプトに数々の名画のラブシーンを図解(!)してつっこみを入れるイラストエッセイ

Comment: えー、この表紙を見てわかるとおり(見えない方は大きくしてみて!?)、かなり露骨です、この本は。通勤電車で読むのに勇気がいりました(こういうときに限ってカバーをつけそびれていたりする)。お子様には刺激が強いかと思われます。いろんな映画のラブシーンを取り上げて、いろいろとコメントしていらっしゃるのですが、この手のイラストエッセイに期待出来るものって「笑い」だと私は思うんだけど、それがちと足りない気がします。あとはどんなに具体的な絵があっても、ぐっとくるほどの色気は感じられないので、作者が期待するところの「そそられる」っていうのはなかったです(だからお笑いに徹すればよかったのに、と思うんだけど)。コンセプトとしては面白いし、かなり楽しめましたが、今ひとつすっきりしない本でもあります。やっぱり何本かの映画に関しては「いい男だよな~」「こういう色気がいいよね」みたいなお話で終始しているものもあり、そこの部分の趣味が一致しない人にとってはあんまり楽しめない。もちろん納得できることもいっぱいあるんだけどさ、例えば「ラブシーンの後ろでやたらくさい音楽が大音量でかかるのは最低」はほんとにその通りだと思うしね。

イラストエッセイの他に2本の対談が入っているのですが、それも一つ残念だった部分。そのうちの1本はみうらじゅん氏との対談なんだけど、お二人の笑いやラブシーンに関する趣味が違うのは明らかなのに、妙にみうら氏の意見に迎合している雰囲気があって残念。性別も違うわけだし、違って当然なんだから、むしろその辺をはっきりディープに語ってもよかったのでは?すくなくともこの本は石川氏の本なのだから、もっと主張して欲しかったなと思います。

と、文句ばっかり言ってますが、買って損したかといわれればそんなことはありません。私個人的には十分楽しませて頂きました。しかしたぶん絶対作者が意図したところと笑いのツボがちがっているのはわかっているのだけど、思わず笑ってしまった2点。

1.みうら氏との対談で「映画会社が絶対気に入りますから試写会に来てくださいっていう映画はあぶない」という話しを最後の方でしていて、みうら氏が「俺なんか阿弥陀堂だよりの試写会の知らせに『絶対仏像がでてきますので~』と手書きで書いてあったのもらったよ」。

2.『氷の微笑』の映画の説明に「マイケルダグラスこのとき48歳。数年後にキャサリンというなの女と結婚して子供をつくるとは誰が想像しただろうか」。(シャロンストーンが演じた犯人がキャサリン)

イラスト見て笑わなくちゃいかんでしょ、ホントは。

2005年02月20日

鴨のバナナ煮 (フォーウェディング)

例の映画の中の食べ物再現企画で、つぎに何を取り上げようかなあと、DVDを物色して「フォーウェディング」を見つけた。これは4つの場所や宗派の異なる結婚式と葬式の話なので、確かウェディングレセプションで何度も食事が出てくるはず!と思ったのだけれど。実際に見てみたらお皿が写ってないんだよね。冒頭のイントロでフライパンの中身にマッシュルーム、ベーコン、ソーセージ、フライドトースト、目玉焼きというイングリッシュブレックファストが出来ているのが出てくるっきり。あてがはずれました。で、絵は出てこないのですが、印象に残ったのが「鴨のバナナ煮」。仲間のガレスの葬式にジョン・ハナが演じるところのガレスの恋人が読んだ弔文にでてくるのです。「彼のもてなしぶりは印象的。奇妙で実験的な料理の数々。『鴨のバナナ煮』のレシピは彼とともに葬りさられます」。多分鴨のをオレンジ煮をバナナで代用したんだろうけど、すごそうだよね。試しに作ってみようかと思ったのですが、やっぱり鴨がもったいない気がしてやめました。多分洋酒とスパイスをうまくきかせれば「まずくはない」ものができるとは思うんだけど、やっぱりもったいないよね。

2005年02月21日

コメントスパム大嵐

先日からコメントスパムが多くて閉口していたのですが、トラックバックのスパムも着始めてしまい頭を抱えております。とりあえずいくつか対策を始めようと思うのですが、なかなかうまくいきません。

で、いくつかお願いがあります。
コメントを書いてくださる方、極力typekeyを入手してください。もちろん無料です。しばらくはメールアドレスと名前の記入でもコメントが入るようにしますが、皆さんがtypekeyの取得をしてくださったら、認証していない方のコメントを受け取るかどうかは管理者の判断待ちという形にしていきたいと思っています。

それから、URLの貼り付けは可能ですが、ハイパーリンクを貼ったコメントははじくプログラムを入れたので(自動リンク設定も切ってあります)、コメントされる方はそのあたりよろしくお願い致します。いろいろと不便をおかけしますが、しばらくはちょうどいいところを探りますので、よろしくおつきあいくださいませ。

続きを読む "コメントスパム大嵐" »

2005年02月22日

映画とたべもの (渡辺祥子)

Title: 映画とたべもの (ぴあ)
Author: 渡辺祥子
Category: 映画エッセイ
Contents: 1992年から2004年までの映画にでてくる食べ物に関するエッセイ

Comments: 今年の1月に出版されたばかりのこの本は、この手の映画エッセイにありがちな名画にかたよったラインナップではなく、最近のハリウッド映画(一番最近のはネバーランド)まで網羅していて楽しい。日本で映画に関する食べ物エッセイを書いている人といえばこの方だと思うのですが、全部で90本近い映画について約3ページ分づつのお話で、ちょっとづつ読んでも楽しい本でした。雑誌の連載だったものをまとめたものなので、こんな感じなのでしょう。きっとこれをよんで見たくなる映画も多いと思います。

ただ、3ページっていうのは長いようで短く、その食べ物の映画の中での登場のしかたや役割なんかには踏み込んでいないものが多くて、ちょっとフラストレーションが読んでいて溜まります。ネタばれになってしまうのをおそれてなのか、映画業界の掟なのかわかりませんが、ちょっと物足りない感じも。まあただちょっとした映画好き、料理好きな人へのコラムだと考えればこんなもんかもなとは思うんだけど。もちろん映画によってはかなり詳しく書いてあるのだけれど。

この物足りなさの一番の原因はおそらく、この人があまり料理を作ることに興味がないからなのかなと思う。感想が「おいしそう」だけなのはやはりどうかと思うしね。それから、映画の中身に関係ない話もちらほらあって、タイトルに引っかけた話だけだったりすると、「締め切りがきつかったんですかね」と思わせられます。それにこういう仕事の人だから各映画は一回しかみてないのか、結構「?それは違うのでは?」ということもしばしば。たとえば先日つくったノッティングヒルの恋人のブラウニーはチョコレートケーキとして紹介されていて、濃い焦げ茶いろからマッドケーキ(泥のケーキ)と呼ばれると説明されているのですが、映画の中ではっきり「ブラウニー」と発音されているし(字幕でもそう)、マッドケーキというのはアメリカのケーキの呼び名だし、ブラウニーがマッドケーキと呼ばれることはありません。ブラウニーをチョコレートケーキって言うこともないし。

それでも、ぱっと思いつかないようなところから食べ物の話題を持ってきてくれる映画も多く、鮮やかな印象でした。たとえば「めぐり逢えたら」では定番のトムハンクスが作るハンバーガーの話しでもレインボールームのディナーの話しでもなく、メグライアンが婚約者と出会うきっかけが食べ物アレルギーで、そのことがメグがこの婚約者と結婚しても幸せになれないのではないかと観客に思わせる背景になっている話しなんかは結構面白かったです。

2005年02月23日

食欲的映画生活術 (渡辺祥子)

Title:食欲的映画生活術 (早川書房)
Author: 渡辺祥子
Category: 映画エッセイ
Contents: 1983-1992年に連載された(『味覚春秋』)「映画とたべもの」エッセイ。約60本をまとめたもの。前述の「映画とたべもの」の前の本にあたる。

Comments: 上にも書いたとおり、前回レビューした「映画とたべもの」の同じ連載の古いものをまとめたものなので、基本的な感想は同じ。やはり踏み込みが足りない感じ。あとがきに本人が書いているとおり「おいしいものを求めるということに対してそれほど情熱を注ぎこめない性格なのだ」なんでしょう。もちろん映画にでてくる食べ物には関心があるからいいのですが、食べ物に関する関心が低いのか「あれはなんだろう?」と疑問を投げかけておいて、解決しない(もしくは「不思議だ」でまとめる)回も多く、なんだか消化不良なことも多い。このエッセイの方向性からして、外国の食べ物で、映画の中で初めて見る食べ物ほど、興味ぶかいものはないと思うのだけど、「どんな味なんでしょうね」「きっとおいしいとおもうのです」では、ちょっとさみしい。また途中に入るコラムはちょっと前回の本とかぶっていることが多く残念。
ただ、年代が古い分、名作として浸透した映画も多いので、レンタルビデオを借りに行くガイドにはもってこい。また著者が実際にいったNYのレストランの話など、「おいしそう」だけではない回はなかなか面白い。

ぶくろぐ導入

登録した本をAmazonとの提携で本棚にならんでいるように見せてくれるという、ぶくろぐに登録してみました。右のカテゴリーメニューのkonamaの本棚から行けます。これまでBOOKのところで紹介した本を順に登録してみています。が、このプログラムの最大の問題は重い!のでナローバンドのかたは見られないかも。内容は一緒ですから、単にビジュアル化してみたかっただけなんだけど、実際にできた本棚を眺めてみるとちょっとうれしいもんですな。

2005年02月27日

シェフと素顔と、おいしい時間

Dir: ダニエル・トンプソン Cast: ジュリエット・ビノシュ, ジャン・レノ
Story: 長年同棲していた暴力を振るう彼氏の元から逃げ出したローズ(ジュリエット・ビノシュ)は思いもよらないストによって、ピンチに陥る。携帯をなくした彼女はすぐそばでミュンヘン行きの飛行機を待っていたフェリックス(ジャン・レノ)に電話を借りるが、その縁で何故か飛行機が出るまでの時間一緒に過ごすことになる。

Comments: DVDで見たのですが、このDVDの裏にのっている筋には「トップ・メイキャップ・アーティストとかつての有名シェフが織りなす、心を暑くするラブ・ストーリー」とあり…なんかおいしそうなものがでてきそうじゃないですか。そういうよこしまな思いで選んだのがいけなかったのか、あんまり面白くありませんでした。監督のインタビューをみれば「フランス映画にラブコメディはほとんど無いのでとってみたかった」といってますが、やっぱり無いのにはわけがあるんだなあと思わせるできでした。やっぱりフランスものとラブコメって相容れないものかもしれない。ジュリエット・ビノシュはものすごいメイクで素顔を隠している設定なのですが、なんかフランソワーズ・モレシャンそのままってかんじだし、ジャン・レノは元シェフでも今は冷凍食品の会社を経営している。神経質でアレルギーもちで、強迫的で、人の話はほとんど聞いていないというキャラ。奥さんに振られたという前ふりがあるにしても、どうしてこれが良くなるかなあという設定です。二人を対照的なキャラにしたかったというのはわかりやすいけど、あまりに図式的っていうのがちょっとなあ。大人の恋っていう設定もちょっとえげつない会話にしか出てこないかな。
 恋愛に傷ついた二人っていう設定がお好きなかた、さらにジュリエット・ビノシュとジャン・レノがお好きな方には楽しめるでしょうが、私はちょっと気味が悪かったです。

 食べ物は基本的にいっぱい出てくるけど、みんな元シェフ氏によってなにかしら貶されていて、おいしそうじゃないのよね。骨付きハムとか、かりかりにやいたバケット、サラダになににといっぱいでてくるんだけど、みんなまずそうにたべるんだよね。あとはでてこないけど作り方が説明される「カエルのニンニクソテー」がおいしそうかな。ジャンレノがお料理するシーンもひたすら野菜を刻んでるだけで、なんの料理になるのか分からない。仔牛のヒレ肉のごまソテー醤油ソースの付け合わせになってるらしいんだけど。この仔牛のヒレ肉のごまソテーは作れそうだけど、普通のステーキになっちゃいそうです。良さそうな仔牛のヒレ肉が手に入ったらやってみますけど、お値段はりそう。

 そういえばこの映画でも「あなたって冷凍の鴨のオレンジ煮みたいね」という台詞があって笑いました。鴨のオレンジ煮はいろんなものを表現出来るみたい。こんど作ってみますか。

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