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映画とたべもの (渡辺祥子)

Title: 映画とたべもの (ぴあ)
Author: 渡辺祥子
Category: 映画エッセイ
Contents: 1992年から2004年までの映画にでてくる食べ物に関するエッセイ

Comments: 今年の1月に出版されたばかりのこの本は、この手の映画エッセイにありがちな名画にかたよったラインナップではなく、最近のハリウッド映画(一番最近のはネバーランド)まで網羅していて楽しい。日本で映画に関する食べ物エッセイを書いている人といえばこの方だと思うのですが、全部で90本近い映画について約3ページ分づつのお話で、ちょっとづつ読んでも楽しい本でした。雑誌の連載だったものをまとめたものなので、こんな感じなのでしょう。きっとこれをよんで見たくなる映画も多いと思います。

ただ、3ページっていうのは長いようで短く、その食べ物の映画の中での登場のしかたや役割なんかには踏み込んでいないものが多くて、ちょっとフラストレーションが読んでいて溜まります。ネタばれになってしまうのをおそれてなのか、映画業界の掟なのかわかりませんが、ちょっと物足りない感じも。まあただちょっとした映画好き、料理好きな人へのコラムだと考えればこんなもんかもなとは思うんだけど。もちろん映画によってはかなり詳しく書いてあるのだけれど。

この物足りなさの一番の原因はおそらく、この人があまり料理を作ることに興味がないからなのかなと思う。感想が「おいしそう」だけなのはやはりどうかと思うしね。それから、映画の中身に関係ない話もちらほらあって、タイトルに引っかけた話だけだったりすると、「締め切りがきつかったんですかね」と思わせられます。それにこういう仕事の人だから各映画は一回しかみてないのか、結構「?それは違うのでは?」ということもしばしば。たとえば先日つくったノッティングヒルの恋人のブラウニーはチョコレートケーキとして紹介されていて、濃い焦げ茶いろからマッドケーキ(泥のケーキ)と呼ばれると説明されているのですが、映画の中ではっきり「ブラウニー」と発音されているし(字幕でもそう)、マッドケーキというのはアメリカのケーキの呼び名だし、ブラウニーがマッドケーキと呼ばれることはありません。ブラウニーをチョコレートケーキって言うこともないし。

それでも、ぱっと思いつかないようなところから食べ物の話題を持ってきてくれる映画も多く、鮮やかな印象でした。たとえば「めぐり逢えたら」では定番のトムハンクスが作るハンバーガーの話しでもレインボールームのディナーの話しでもなく、メグライアンが婚約者と出会うきっかけが食べ物アレルギーで、そのことがメグがこの婚約者と結婚しても幸せになれないのではないかと観客に思わせる背景になっている話しなんかは結構面白かったです。

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コメント (2)

この本、買おうかどうか迷ったんですが、konamaさんも書いていらっしゃるように、なんだか物足りない感じがして見送ったのでした。
あと今更なコメントですが、石川三千花さんの本もかなり気になっていましたー。本屋では見たことないしちょっと買いにくいので(^_^;)、アマゾンで買おうかなぁ。

サインイン、成功してるかな?

konama:

サインインうまくいってますよ。
私のサイトのコメントのテンプレートが間違ってるのかも。ちょっと後で調整しますね。

そう、この本は今ひとつ踏み込んでないんですよ。ラインナップは悪くないんですけどね。フォーンブースも入ってますよ。インパクトという意味ではラブシーンの掟の方が納得出来ます。たしかにラブシーンの方は本屋で買うのはちょっと恥ずかしいかもね。

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2005年02月22日 09:43に投稿されたエントリーのページです。

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