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2008年04月 アーカイブ

2008年04月02日

「三浦しをん」祭り

風が強く吹いている
風が強く吹いている
posted with amazlet on 08.03.06
三浦 しをん
新潮社 (2006/09/21)
売り上げランキング: 2513

Category: 青春小説
Story: 走る事にしか感心のない蔵原走は、大学入学にあたって上京し、同じ大学の清瀬灰二との出会いから、超おんぼろアパート青竹荘の住人になる。なぜか無謀にもほとんど素人の青竹荘の面々で箱根駅伝を目指すことになるのだが…。

Comment: 以前からこの本は装幀の絵が私の好きな山口晃氏の絵なので、気になっていたのですが、ここ一月三浦しをん氏の本を読み始め、結構肌に合う感じだったので、ついにこれも購入。かなり面白かったです。超さわやか、痛快青春小説といいましょうか。まあ大学生10人の話だから日々のエピソードはそうさわやかでもないのですが、箱根に挑戦するときめて練習を始める10人のメンバーそれぞれのエピソードが個性を際立たせていて、最後のレースのシーンにつながっていきます。題材が駅伝ということもあって、最後のレースでも10人全員が端折られることなく活躍して、気持ちが良いです。全体としては著者が感じたランナーの美しさや力強さにたいする感動がそのままほとばしった結果がこの作品なんだろうなあ。わりとさくさく読めるので正月には箱根を見るよってかたには是非。とはいえ、”女の人が書いた”男の子の話なので、汗もそんなに臭くない感じではあり、人によっては(特に大学時代体育会系の方)ケッっていう感じもするかも。

最初に三浦しをんを読んだのはエッセイで、自身の漫画漬けの日々や家族の話に大笑いしたのと、でてくる話が友人の話とよく似ていたので(あまりに面白かったので友人本人にもすすめたら、あまりにテーストが似ているので読む必要がないくらいだといわれた)、はまって読み始めました。まあ半分オタクのつぶやきでもありますので、漫画や本にどっぷりというひとじゃないと面白くないかもしれませんが結構楽しかったです。いまのところ読んだのは以下のとおり。エッセイの中では最新の「悶絶スパイラル」が面白かったです。

仏果を得ず まほろ駅前多田便利軒 むかしのはなし (幻冬舎文庫 み 12-1) きみはポラリス 悶絶スパイラル あやつられ文楽鑑賞 乙女なげやり 桃色トワイライト 三四郎はそれから門を出た

小説はわりと「風が強く吹いている」に雰囲気がにてた男性2人がキーになるストーリーと、女性のものとでちょっと雰囲気が違う。割と私が気に入ったのは男性2人がキーになる方で、そのジャンルとしてよんだのは以下の本。「仏果を得ず」は文楽のお話で、修行中の健太夫と天才肌の相三味線兎一の二人の「文楽馬鹿」の日々。これは健太夫の恋物語もあるし、文楽そのものに関する話も面白いのだが、少々あっさり終わった感が否めない。お話としては漫画を読む方なら「花よりも花のごとく」(これはお能の話だけど)みたいな感じだと思っていただければイメージがわきやすいかな。
直木賞をとった「まほろ駅前多田便利軒」ではたちなおり難い過去を抱えた便利屋多田のもとに、高校時代の変人としてしか認識していなかったクラスメートが転がり込む。全体としては生きていくために封じ込めようとする過去のかけらが、日々いろんな形で現れて、それをなんども消化して許し合って生きていくという感じでしょうかね(甚だ抽象的ですが)。

2008年04月07日

京都でお花見

千本釈迦堂 千本釈迦堂その2
京都に縁ができて3年目の春。ようやく京都のお花見ができました。とはいえ新学期前の忙しさは変わらず、金曜の夜について日曜の朝帰ってくるという日程。でもほんときれいでしたよ~。
今回はお花見三昧。金曜の夜は木屋町通りの夜桜をみて帰宅。土曜日は知人に勧められた千本釈迦堂からスタート。お堂の感じもいいし、この枝垂れが素敵なんですよ。この週末はどこも大混雑ときいていたけれど、小さなところのせいかここはそんなに混んでませんでした。このあとはそのまま上七軒をぬけて北野天満宮を通り抜け、平野神社へ。さすが、ここは桜の神社。ものすごい人出でしたけど、いろんな種類の桜があって、見渡すかぎり桜。境内がお花見屋台でいっぱいでした。こちらのひとにいわせると地面にビニールシートひいて飲むのが関東風、こういう台で飲むのが関西風の花見なんだそうな。たしかにこういう景色は関東にはないなあ。
平野神社 関東風関西風?
ここで嵐山電鉄と行きたいところですが(夜がいいそうですよ)、欲張らずバスで戻って御所の御苑へ。ここの枝垂れが本当に本当にすごかった。今回の花見で一番きれいでした。自分の目の高さまでずっしり花がついた枝がさがっていて、白やピンクのグラデーションでほんとに桜の中にいるという感じでした。
御苑。これはすこし大きめな写真 御苑その2
その後は寺町沿いに南に下って、地下鉄にのって醍醐寺へ。ここは大きい枝垂れがきれいだったけど、普通の桜のトンネルが良かった。ここはかなり混んでましたねえ。というわけで、なかなかよく歩いた一日でした。

そうそう、私もかえりに例のもの買いましたよ~。おいしかった。


2008年04月17日

本の世界の滞在時間

犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル) 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)
先日友人と話をしていてふとおもったのですが、本を読むスピードって本の世界にいる滞在時間ってことなんですかね。もちろん本の中のストーリーと同じだけ時間がかかるように読むべきだといってるわけではなくて(24みたいにね)、作家さんの期待しているその世界にひたる絶対的ボリュームみたいなものっていうのがあるのかなと思ったのです。(今回はくだらないことをくだくだと考えてだらだらと書いているのでわかりにくい話かも)。

人によって読むスピードはまちまちですよね。たとえば、普通の厚さの文庫だったら、物語のタイプにもよりますがだいたい私は2-3時間くらいで読み終わります。別に飛ばし読みしているわけではないのですが、周りの反応からするとどうやら比較的せっかちなたちのようです。ゆっくりじっくり読むたちの方ならば1週間かけるかたもいるでしょう。その場合1週間どっぷりその世界にいるってことですよね。たとえば作品の重たい感じや深刻な感じがある程度記述の長さなんかで表現されているとしたら、私は作者の期待している感覚を読みとれていないのかなあと何となく思ったのです。

もちろんどんなスピードで読もうが相対的な時間感覚は保たれているわけだし、時間が均等にながれていかないというのは文学作品の素敵なところだと思うから、実際にそんなことは問題にならないのだろうけれど。たとえば速読をした場合、中味はわかっているのはわかるのだけれど、どういう感覚になるんでしょうね?作品は作者の手を離れれば独立したものになる(読み手によって感じ方が変わる)というのは当然だけれど、作者自身が感じているスピード感で作品がよめたらまたちょっと違った世界があるのかもしれませんね。

そもそもこんなしょーもないことを考えたきっかけは、毎日家で横溝正史を読み続けていたっていう人の話をしたことで、ゆっくり読む人はずーっとずーっとあのおどろおどろしい横溝ワールドに浸かっていたのか~、ひ~、と思ったのです。

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