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食べる女 (筒井ともみ)

食べる女
食べる女
posted with amazlet on 07.03.23
筒井 ともみ
新潮社 (2007/02)
売り上げランキング: 4546

Category: 短編連作
Story: 食べることをテーマにした女性(たまに男性)を主人公にした短編。全体のトーンはあるけれど、ストーリーとしての関連性はない。
Comment: この本は新潮文庫の今月の新刊。平積みになっていたところ帯の「思わず舌なめずりのソソるショートストーリー、全18編」という文句に惹かれて購入。今はやりのスタイリッシュ(?)な美味しんぼ小説だったらがっかりだなあと思いつつ読み始めたのだけれど、結構面白かった。それぞれのお話は短いのでさらっとよめちゃいますけど、それなりに盛り上がりがあって良いです。

食べ物がメインのモチーフですが、食べること、セックスすること、ひとりになることを軸に、自分が自分らしくあることや自分がどういう質の人間なのかを体感することを大事にするお話。
だからでてくる表現も舌触りや肌触り、光や空気の見え方なんかが細やか。

美味しそうなご馳走(時たまそれは男性でもあるのだけれど)は、ポトフやサーモンから始まってポテトサラダに生卵ごはんまで。最初の「台所の暗がりで」ではこった美味しそうなものがさんざん出てきた後に、台所でたって音を立ててかき込む生卵ごはんが強烈。

一番インパクトがあったお話は「闖入者」。偶然が重なって知り合ったさえないおじさん、タナベ氏が何かとお料理をしに部屋に来てくれるようになるのだが、「○○お好きですか?」とつぶやくように聞きながらどんどんと彼女に攻め入ってくる(押し寄せてくる?)様がコワい。

この短編集にはまだ文庫化されていないが続編がある。食べる女 続 (2)

1の方もそんなにものすご~く良かったというほどでもないから、立ち読みでも…と数ページめくったら、
「生牡蠣にギネスをかけて食べる」
話があってノックアウト。レジに直行です。

とはいえ全体に続編の方が暗いので、ちょっと救われない気分の話が多いかな。
しかし、食べ物のソソり度はUP!湯豆腐にサンマのぶつ切りとか…。

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コメント (6)

ぢょーぢ:

この本のタイトルでそそったのですが、若い子が読む本なのかと思ってスルーしてました。罪なく読めそうでいいですね~!これも買おうかなぁぁぁ~!うんうん!私も生牡蠣ギネスは反応しまくりでありますね!

生牡蠣ギネス・・・
少なくとも、たらり子さんはスルーでしょうね(笑)

人間も動物である以上、一番関心を持つべきところは
やっぱり『食』なんでしょうね。
直球勝負的なタイトルの付け方が
シンプルだけど潔い印象です☆

>ぢょーぢさん
まあ軽いといえば軽いですが、あんまり期待してなかったので面白かったです。さらっといけますよ。

>神井さん

たらり子さんは反応はしそうだなあ(食べちゃだめだけど)。

中身も食欲性欲睡眠欲に素直になる話が多かったな。タイトルはなかなか良いですよね。

きゃーー
生牡蠣にギネスをかけるですと?!
ご存知のように私がギネスに目覚めた時は、既に牡蠣が食べられなくなっていました。
でも、もし今、私が牡蠣が大丈夫でギネスを呑みながら生牡蠣喰っているとすると・・・妄想中・・・ええい!こんなに二つはあって美味しいのだからいっそのことかけちゃえ!・・とか思うかも?(はい、これは私の単なる妄想です。)

面白そうな本なので、アマゾンでカートに入れちゃった。

立ち読みはね・・最近、視力の問題で(老眼のほう。。。)なかなかキツイのです・・

昔の洋画か書籍でもあったようです、【食べる=SEX】邦画では伊丹十三作品でしょうか。
生牡蠣は、モノにもよりますが、出来ればそのまま食べたい派かなぁ・・・

>たらり子さん
直接かけるかどうかは別として、なんかあう組み合わせな気がしません?

あ、でもこの組み合わせは続編の方だからね。

>びわんちゅさん
「たんぽぽ」とかそんな感じですよね。たしかあの映画にも役所広司が牡蠣を食べるシーンがあったような…(生卵とかエビの方が有名ですけど)。

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2007年03月23日 23:16に投稿されたエントリーのページです。

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