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ブロークンフラワーズ

Broken Flowers: Music from the Film
Original Soundtrack
Decca (2005/08/02)

Original Title: BROKEN FLOWERS (2005)
Dir: ジム・ジャームッシュ Cast: ビル・マーレイ, ジュリー・デルピー,ジェフリー・ライト,シャロン・ストーン, フランセス・コンロイ,ジェシカ・ラング
Story: 若い頃は様々な女性とつきあい、コンピュータで成功したドン・ジョンストン(ビル・マーレー)も年を取り、早々気楽な隠居生活に入ったものの、相変わらず独身で結婚する気もなく、一緒にくらしていた恋人からも「老いたドン・ファンは嫌」と愛想をつかされてしまう。そこへ差出人不明の「あなたの息子を20年前に生みました」という手紙が届き、隣人の押しの強いウィンストンにお膳立てされて、ドンはまだ見ぬ母子を探す旅に出る。
※リンクはサウンドトラックのものですので注意。
Comment: 中年おじさんのロードムービー。約20年前につきあっていた女性の元をたずねる旅に出るわけだけれど、最終的にはわかったようなわからないような不思議な結末に。そんなすっきりしない観客任せのラストなので、苦手な人は苦手かなと思います。私も久々に観た映画がこれで、「はあ~面白いけど、復帰第一作目としてはすっきりせんなあ」という気持ちも少々。

実際昔つきあっていた男(それも20年前!)が訪ねてくるっていうシチュエーションはかなり気持ちの悪い事態だと思うのだけれど、女性達の現在、反応も様々で、それぞれのエピソードは「くすっ」と笑える感じの面白さ。ドン自身も隣人の手配したレンタカーの白のトーラスをみて「せめてポルシェかなんかにしてくれないと、これじゃまるでストーカーだよ」と愚痴っていて笑えます。女性達を演じるのもシャロンストーンをはじめ、豪華な顔ぶれで、魅力的。あうたびにドンが微妙な質問(まさか「僕の子供を産んだのは君?」とはきけない)をして、きまず~い間が流れるところが温い笑いを誘います。

そのあたりの駆け引きや思いはビルマーレーのちょっとした表情で表されていて、なかなかの名演。画面も首から上のアップがやたら多かったです。

で、最後のオチはなかなか苦い感じ。ビルマーレーに「過去は過ぎ去ってしまっているし、未来はまだきていない。だから現在が大事なんだ」と言わせて、「そうね~、人生の道のりを考える旅だったけど、あった彼女たちは現在を生きているわけだし」など思わせるわけですが、そこはもう一ひねり。簡単にはおわらせてはくれません。このオチは是非映画を観て楽しんで頂ければ。

そうそう、隣人が旅のお供にと貸してくれる「エチオピア音楽」。かったるいような音楽がこの旅にぴったりあって、笑えます。おまけに耳にしっかりのこる不思議な音楽。余裕があったらサントラも欲しいかも。

食べ物は…あんまり記憶に残らなかったなあ。途中に出てくる不動産屋を営む彼女の作ってくれたディナーがいかにも冷凍食品ディナーでまずそ~(ビル・マーレーもにんじんをフォークでつついているだけ。最後は観念して食べてますけど)というのくらいですね。

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コメント (8)

ぢょーぢ:

kanamaさんがこの映画推薦されていたので、興味ありました。ビル・マーレィはいい味のある人なので、映画としては惹かれるし、それに
ジュリー・デルピー(彼女老けたな~)も出てるので、機会があれば見ようと思ってましたが、どんなもんかなって思案してたのです。(konamaさんの感想があればいいのにっと思ってましたの)
うーん!オチが知りたいので、見に行こう!

エチオピア?太鼓がドンドンって感じ?

konama:

>ぢょーぢさん

楽しいっていう映画じゃないので、元気なときに温い笑いで楽しむっていう感じでしょうか。

オチを少々ばらしますと(っていっても筋ではないですが)、最後の最後に出てくる青年を演じているのはビル・マーレーの実の息子のホーマー・マーレーなんですよ。(私も映画観たときには気づかなかったの)。

エチオピア音楽は表現が難しいなあ。
上のリンクはアマゾンのサントラのページにリンクしてますので、是非1曲目のThere Is An End - The Greenhornes with Holly Golightly を試聴してみてください。

konama:

↑今ききなおしてみたら、やたらけだるく歌った007のテーマみたい。。。。うーん。

ぢょーぢ:

聞きましたよ!うーん!ほんと007とか60年代に流行ったフランス映画ぽい感じ。個人的にはこのような曲は結構好き!

konama:

>ぢょーぢさん

そう、なんか耳に残りますよね。
で、毎回実りない(たまにある)再会後に次の女性のもとにいくべくドライブをはじめるたびに、あの うんちゃかすちゃかちゃ~ みたいな曲が最初からかかって、なんか哀しいけど可笑しいんだよね。

老いた女たらしの物語・・って事で
少しイメージが「恋愛適齢期」と被っていたんだけど・・。
なかなか面白そうだね

サントラのほうも見てみたんだけど
マーヴィンゲイのI WANTYOUが使われているのね。
ますます恋愛適齢期とイメージが被ってきました。アチラはLET'S GET IT ONだった記憶があるけど。

レンタルされたら見てみようっと。

女性と男性では、この映画を観た印象は違いますかね?

主人公の男性にとっては過去を振り返る旅だけど
手紙を出した女性は現在の状況を言ってるのですよね。


僕は女たらしではありませんでしたが(本当)
全盛期の自分を探す旅は、衰退した自分を認める感じがして
切なさが残ります。
もっともこの映画を知らないので
この記事から推測してるに過ぎませんが・・・

konama:

>たらり子さん

そーねー、ビル・マーレーの役所って、結構もしジャック・ニコルソンがやったらって話に結構なるし、わりとそういう感じがあるかもね。

でも今回はビル・マーレーのソフトなくたびれ方がとっても映画の雰囲気を作っていてよかったからなあ。

盛り上がるって感じの映画じゃないけど、ちょっと面白いかも。

>神井さん

そうなんですよ。結局手紙を出したヒトには会えたんだか会えないんだかなんですけどね。
ただ、過去をたどる旅でもドンにとってはこれもまた”現在”なのですから、そのへんがまた面白いところなんですよ。

神井さんの
>僕は女たらしではありませんでしたが(本当)
とわざわざことわっているところがちょっと楽しかった。そんなこと言うぐらいだから、きっと若い頃は…。

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2006年05月16日 10:42に投稿されたエントリーのページです。

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