Comment: 以前「みみずくとオリーブ」を紹介した芦原すなお氏のミステリーですが、雰囲気は全く違ったハードなタッチ。短編連作ですが、とにかく最初の話「雪のマズルカ」にどかんとやられました。みみずくとオリーブのほんわかしたタッチもすきですが、この最初の話がとにかくシンプルかつ潔いストーリーで彼女に関する興味を強烈にかき立ててくれます。そんなにたくさんエピソードが入っているわけではないのに、彼女のイメージがかなりくっきりと見えておもしろかったです。
また、この話は以前紹介した「月夜の晩に火事がいて」とも関係があって、こちらの主人公山浦歩ことふーちゃんが、相談相手として登場します。夫が死んで探偵になった彼女と妻が死んで妻から「電話がかかってくる」ふーちゃんの会話はなかなか面白い。ふーちゃんが浮世離れした学者肌だったのに対して、彼女はいつも一歩引いた皮肉屋な感じ。でもその変に冷めた目でみた彼女のつぶやきが妙に面白くて、そのあたりが芦原すなおの味なのだろうなと思います。
今回のお話は香川のお話もないし、おいしいご飯もでてきませんけど、作家の「書きたかった」感が感じられて気持ちの良いお話でした。あ、ストーリー自身はグロい話もあるので、ちょっと注意。
コメント (2)
「雪のマズルカ」と「月夜の晩に火事がいて」例にパンドラの箱の中にあってお正月に読んだよ。
「雪のマズルカ」の巻末の解説に里子さんの事を「クールでカッコイイ!!」って評してありましたが、私は確かにそうも感じるのだけど里子さんってあまりにも片意地張っているように感じたのね。妙にとんがっているっていうか。
しかし、最後のあたりを読んでああそうか~って思った。「悲しいね」って彼女に声をかけてあげたくなりました。
あ・・ワタクシ、ふーちゃんはタイプかも(笑)
投稿者: たらり子 | 2006年02月06日 18:06
日時: 2006年02月06日 18:06
私も里子さんのことは「かっこいい」とは思わないんですよね。味がある面白いしゃべり口だと思うけど。
最初の話が良いなと思ったのはキャラクターが良いというわけでなくて、短いストーリーなのに、彼女の本来の姿と現在こうなっている背景が透けて見えるような構造になっていて、すごいなあと。
ふーちゃんは確かに良い感じ。特に里子さんの側からの描写だから、このストーリーではさらに良い感じですね。
また新作がでたら読みたいな。
投稿者: konama | 2006年02月06日 18:24
日時: 2006年02月06日 18:24