« 映画館まではいったんだけど | メイン | よくある展開 »

名声のレシピ (シャロン・クラム)

名声のレシピ
名声のレシピ
posted with amazlet on 06.01.10
シャロン クラム Sharon Krum 池田 真紀子
新潮社 (2005/10)

Category: コメディ
Story: トムはウォールストリートジャーナルでコラムニストとして働いている、歴史オタクで野球好きのさえない中年男。しばらく前には親友に妻を寝取られた。ある日、彼は大手の雑誌社から”一月で有名人になって、その暴露記事を書く”という仕事を依頼される。有名になる手段は問わないとのこと。色々悩んだ彼は、勢いでセクシー映画スターにデートの申し込みをし、彼女と一晩デートに出かけただけで時の人になってしまう。そして周囲の人々の反応は…。

Comment: 痛快でちょっとブラックなエンターテイメント小説とでもいうか。とにかく結構分量があるわりにはさらさらと読めるし、あれよあれよという間に事態が進展していく様が面白い。これまでよくあった、一夜にして有名になる女の子→有名になることで綺麗になっていく彼女→奪われるプライバシー→普通の女の子に戻りたい、みたいな構図ではなく、おじさんが有名人の彼氏ということで有名に→そのおかげで変な服を着せられるが似合わない→奪われるプライバシー…だが結構面白い、見たいな展開で、本人が気にしていることや小さな勝利感・挫折感を味わっていることは全て彼の身の回りの小さな人間関係だったりするところが、なんか楽しい。その小市民ぶりはまったく有名になったところで変化はなく、周囲のヒトが”有名になったから”と彼を偏見の目で解釈するようになる、その彼の行動ですら、小市民的な発想が元になっている図がとてもよくでていて、面白かった。

さらに、この話の面白いところは変に恋愛にこだわらなかったところかもしれない。ラブコメではないので、そういうものを期待される方は肩すかしを食うと思いますのでご注意を。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://everything.chips.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/445

コメント (4)

面白そうだね~。

翻訳本ってのがちょっと引っかかる所はあるけど、内容としては好みかもしれません。

恋愛に拘ったものじゃない・・ってのが私には益々そそられますね(笑)
どうも恋愛モノって好きじゃないのよね~映画にしても、本にしても・・。まあ、ストーリの一部に組み込まれているのなら良いけど、それが全面に出ているのは苦手。

次の注文の時に、一緒に買ってみようかな?
今度は全部翻訳本を(笑)

konama:

そうですね。最初のうちは文体がちょっと気になるかも。翻訳本だからねえ。でもアイディアがちのお話なので、気にせずさらっと読んで頂ければよいかと。結構さばけた女優さんがおじさんと対照的で楽しいよ。

こんな時間にお邪魔します。

主人公の内面は変わらないのに
周囲の人々は一夜で彼に対する見方が変わる。
そんな人間の偏った態度を皮肉ったものでしょうか?

ボロい袈裟を着た時と、立派な袈裟を着た時の
周りの反応の豹変ぶりに喝をいれる一休さんを
思い出しました(漫画だけど)。

でも『うわべ』でまず判断するのはいたし方ない事なので
わかって欲しい部分の自分の内面が
うわべににじみ出てくる努力は怠らない様に
したいものですね。

konama:

神井さん、いらっしゃいませ。
お仕事お疲れ様です。

そうですね、周りの反応と主人公の反応の対比がおもしろくかかれていますね。そういう意味では一休さんといっしょですね。この話は最後に暴露本を出すという展開なので、またここでメディアをとおした別の形の「うわべ」が上書きされるというおまけ付きです。

自分の内面を出す努力…大事ですよね。時たま話している相手が私のどんな「うわべ」を見ているのかよくわからん時もありますけど。

こんな感じで好きなこと書いてるサイトですが、よろしければまた遊びに来てくださいませ。

コメントを投稿

About

2006年01月11日 09:32に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「映画館まではいったんだけど」です。

次の投稿は「よくある展開」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。