« ディナーラッシュ ~食べ物編 | メイン | ベリーニ (世界中がアイラブユー) »

シルヴィア

シルヴィア
シルヴィア
posted with amazlet at 05.08.12
バップ (2005/06/22)
売り上げランキング: 7,699

Original Title: The Beekeeper's Daughter (2003)
Dir: クリスティン・ジェフズ
Cast: グウィネス・パルトロウ,ダニエル・クレイグ
Story: 没後にピューリッツァー賞を受賞したシルヴィア・プラスの半生と夫となる詩人のテッド・ヒューズとのラブストーリー。学生時代から天才といわれイギリスに留学したシルヴィアはテッド・ヒューズに出会って恋に落ち、結婚する。幸せな新婚生活を送るが、夫の詩人としての成功の一方で彼女はスランプに陥る。

Comment: この映画はとっても個人的に痛い映画でした。そもそもは宣伝の写真がケンブリッジのバックスを二人がパント(ボート)で通っている絵で、イギリス映画だしケンブリッジの風景も懐かしいし、ちょっと見てみようかなあという程度のきっかけだったので、こんなディープな内容だと思っていなかったのです。プロデューサーのインタビューなどをみていると、破滅的な愛の形とか、そんな感じでラブストーリーが強調されていますが、なんといってもシルヴィア本人の人生がそんなものを吹き飛ばしてしまうくらい強烈で痛いので、要注意です。個人的に受け取りすぎるきらいもありますが、夫婦で同じような仕事をしている女の人には痛いせりふ連発なので特にご注意を。

結局のところこのシルヴィア・プラスという人は若くして自殺してしまい、その死後夫であるテッド・ヒューズ氏が遺作を出版してそれが賞を受けたということで、実際には生前には評価を受けていない詩人だったらしい。その死の背景には幼いころに自殺未遂をしている精神的あるいは性格的な問題があるのか、ヒューズの浮気の問題なのか(これも背景に彼女の性格があるともいえる)、父が幼いころになくなって以来さいなまれている孤独感と虚無感のせいなのか、それとも単に彼女が生まれる時代が早すぎたのか。さまざまなファクターが絡み合っていて、でもどれも正解ではないそんな空気が感じられます。逆に言えばヒューズとシルヴィアの組み合わせはどうしてもこういう結果になってしまうと見ることもできて、これはプロデューサーのいうところの破滅的な愛の形ということなのでしょう。

そのあたりの解釈は結婚した二人が始めてシルヴィアの実家に帰るシーンに現れていて、母親は初めてあったテッドについて「普通の人と違う」と感想を述べ、さらにテッドに対してとても脆いところのある娘を傷つけないでほしいと牽制します。このシーンは映画をとおしてとても印象的で大事な場面になっています。ちなみにこのシルヴィアの母親役はグウィネス・パルトロウの実の母親であるブライス・ダナーが演じていて、とても自然な感じで親子の会話が進んでいます。

グウィネスとテッドを演じたダニエル・クレイグはとても印象的な演技で、画面も薄暗いけれどとても丁寧なつくりになっていて、映画としてよかったです。テーマは重いし、暗いストーリーではありますが、じっくり見られる大人向けの映画だと思います。

この映画も食べ物がかなり心のきしみの表現に使われています。そんな意味でおいしい感じはしませんが、印象的なので次回のエントリーでまとめてみたいと思います。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://everything.chips.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/383

コメント (2)

reitaro:

シルビア、、、やっぱり重くて、暗い話なんですね。。。見てみようかなと思いつつも、手が伸びずにノビノビになってしまってます。
もうしばらく、置いてから借りることにします。

ディナーラッシュ、レシピがついてるんですね。こちらは内容が無いんじゃないかと思って借りてなかったのですが、レシピがついているとなるとまた別。今度ぜひ借りてみます。

恋人たちの予感は、昔大好きな映画の一つでした。ついでにハリー・コニックJRまで好きになったくらいです(笑)。なんだか懐かしいですね。

お盆休みなので、これからコニー&カーラという話を見ながら夜更かしをします。konamaさん見たことありますか?

konama:

reitaroさんこんにちは。
お忙しかったようですが、ようやくお休みですね。いつも楽しみにブログ拝見しています。

シルヴィアは好みによりますけど、お休みの娯楽にみる映画ではないかも。ただ甘くないラブストーリーを御所網ならばよいかと。映画としてはよくできてます。

ディナーラッシュは結構映画も面白かったですし、レシピも結構丁寧にできてます。材料の問題が少々ありますが、reitaroさんならおいしく作れると思います。作ったらぜひ見せてくださいね。

ハリー・コニックJR、いいですよね。私はもともとあんな感じの甘い声のボーカル付きのジャズトリオが大好きなので、この映画でも堪能しました。DVDには彼のミュージックビデオがついてますし、音楽だけ掛けられるバージョンもついているので、サントラ買った気分も味わえてお得でした。

コニー&カーラはまだ見てません。面白かったらぜひ感想を!楽しみにしてます。

コメントを投稿

About

2005年08月12日 12:09に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「ディナーラッシュ ~食べ物編」です。

次の投稿は「ベリーニ (世界中がアイラブユー)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。