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Big Fish

Dir: Tim Burton Cast: Ewan McGregor, Albert Finney, Jessica Lange, Helena Bonham Carter

Story: エドワードブルーム(アルバート・フィニー)はいつもロマンティックで不思議なおとぎ話をする人で、みんなから愛されていた。しかし、その息子はいつしか反発を覚え、父子は疎遠になっていた。
死の床についた父に意を決して会いに来た息子は真実を追い求める。

Comment: 現実の年老いてしまった家族と、父親の語る奇想天外な冒険譚が交錯するかたちでお話が進んでいきます。ファンタジーとしてはなかなか王道な感じか。イメージとして(お話自身は関係ないけど)ミヒャエル・エンデの「鏡の中の鏡」を思い浮かべました。

ユアン・マクレガーはお話の中のエドワードブルームを、チャーミングで現実感のないプリンスオブチャーミング(?)をバッチり演じています。彼でなくてはこの役はだめということではないのですが、彼独自の世界を作り出していて、いい感じでした。まあ現実にはこんな人いないよ。ともあれ現実の息子を演じるビリー・クラダップの現実主義者ぶりと対照的になっていて、きれいにまとまっているかなと。

アルバート・フィニー(最近でおぼえているのはエリン・ブロコビッチの相方)はさすがで、微妙かつ要の役所をどっしり演じています。母親役のジェシカ・ラングは本当にきれいなおばあちゃんで、愛し合う年老いた夫婦がとても良い感じです。彼らが一緒にお風呂に入るシーンは切なかったし涙がでました。

ファンタジーというのは幻想的ではありますが、異形の物語でもあって、この映画もそういったグロテスク(ネガティブな意味ではなく)な部分がかなり出てきます。巨人やシャム双生児、死に様を見せる魔女、そして時間の止まった村。靴を村の入り口にある電線のようなものに引っかけるシーンは本当にぞっとしました(死んだ人の靴を電線に引っかける習慣がたしかある)。やはりこの闇の部分は人によっては受け入れられないものだろうし、個人的にはちょうどよかったけれど、このティム・バートンのバランス感覚は一般受けという面ではちょっと行き過ぎているかもしれない。
そして、そういったものを一人で体現してしまっているのがヘレナ・ボナム・カーター。父親の幻想世界と現実をつなぐ人物として出てきますが、彼女の確かな演技力のおかげで、この2世界のボーダーラインがぼけずにはっきりと示されます。最近は彼女はこんな役ばっかりのような気がする。ある種灰汁の強い役ばかり。。。最初に「眺めの良い部屋」で見た頃からはずいぶん変わってしまったかも。

そしてやはり最後の死のシーン。かなりしっかり泣きました、映画館で。もちろん父親が病院で死ぬシーンというのはそれだけで、個人的な記憶を呼び覚ますので、何年たっても目は潤むのですが、それだけではなく、いろんなものを許されてすべて受け入れられたような安らぎがありました。
あんな風に死の瞬間がやってきたら安らかなのかもしれない。
このシーンはなんとなく「奇蹟の輝き」のロビンウィリアムスが息子に気がついたシーンを思い出させます。

最近の映画としてはシンプルすぎるくらいのストーリーなのかもしれませんが、見てよかったです。

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コメント (1)

おそくなってしまいましたが、一応アップ。

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2004年06月22日 10:30に投稿されたエントリーのページです。

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