Dir: Scott Hicks Cast: Geoffrey Rush, Noah Taylor, Armin Mueller-Stahl
実在のピアニスト、デビッド・ヘルフゴットの半生を描いた映画。彼はまだ現役のピアニストで日本にもたまに来ているし、CDも出している様だ。この映画でジェフリーラッシュはオスカーを取った。
ストーリー:オーストラリアのユダヤ系ポーランド移民の家族に生まれたデビッドは小さい頃から、厳格な父親にピアノを教えられる。彼の才能は飛び抜けており、数々のコンペで賞を取るが、彼は優勝することによってしか、父を喜ばせることが出来なかった。父の反対を押し切ってロンドンに留学し、その才能を伸ばすが、父との因縁のあるラフマニノフのピアノコンチェルト3番を弾ききった後、精神的病に冒される。
作った話ではないから、劇的な起承転結はありません。しかし引きつけられる映画でした。
まず最初に思ったのは、?なんでジェフリー・ラッシュがこれでオスカー?あんまり出てないじゃん。それなら若い頃のデビッドをやったノア・テイラーのほうがいいよ、とうこと。まあ障害者や精神病の人をやるとオスカーが取れるというのはよく言われますが、病になる前の方が演技としても難しいのではないかしら。もちろんジェフリー・ラッシュもすばらしい演技をしているけれど、その点ではノア・テイラーを評価したいです。18歳の役を27歳でやるっていうこともすごいですが、父親に認めてもらいたい心と、父を恐れる心、ピアノへの情熱とが、派手なせりふや動作ではなく、目に現れていて感動しました。
この映画はとにかくお父さんが怖いです。怖いっていうのは恐ろしいといういみではなくて、強迫的で、ある意味人間的でない行動をするお父さん自身が分からない。もちろん彼は愛情たっぷりなのです、息子に対して。そのお父さんは何年たってもその雰囲気や外見が変わらないのでさらに怖かったです。
主人公がジェフリー・ラッシュになってから、お話は急展開にすすみます。精神的におかしくなるといってもいわゆる精神病ではなく、状況がある程度理解できているし、ピアノの演奏もすばらしい。この映画のピアノの演奏はほとんど本人の演奏らしいが、その演奏はただ超絶技巧というのではなく、心をうつようなすばらしい演奏です。
現在も本人ヘルフゴッドはコンサートをやっているし、その演奏はすばらしく、演奏中も明るく、舞台に出てくるときは小走りなんだそうです。いちど彼のリサイタルにいってみたいものです。
全体にいっていい映画でした。別に人生が変わるほどとか感動して涙がとまらないってことはなかったけれど、見終わった後も心に残る映画でした。