Title: 世紀末の隣人 (講談社文庫)
Author: 重松清
Category: ノンフィクション
Story: 作家重松清が「現代」に連載していた、1999-2000におきた事件を追うルポ。
Comment: 小学生の殺事件や砒素入りカレー事件、新潟少女監禁事件など、その当時のトピックの現場を訪れ、謎解きでなく、被害者や加害者の背景を考えている。重松氏が書いているせいか、こんな無惨な事件の列挙なのに、文学作品の引用が多くて、なぜかちょっと文学調。 それはそれで面白いし、これまでの陰惨なルポよりも、実際に時間のたってしまった今ではいろいろなものを伝えてくれる。特に監禁事件に関する「人を所有するということ」の考え方や小学生殺人に関する「支配されない場所」はとてもすんなりと考え方になじめてしまって、怖いくらいでした。ちょっと心理分析風なところもあってちょっと危ういのですが、新しい切り口もあって感心しました。そこここにでてくるニュータウンの幻想と風化の話は興味深かった。
★★★★☆