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奇蹟の輝き

リチャード・マシスン(創元推理文庫,1999)
奇蹟の輝き98年ロビン・ウィリアムス主演の映画「奇蹟の輝き」の原作です。原題はWhat Dreams May Come.映画は油絵風の特殊効果でとても美しく、確か飛行機の機内で見たのですが、2回繰り返して見たのを覚えています。今回は原作を読んでみて、さらに泣けました。
 ストーリーは例の黄泉の国に妻を迎えに行くオルフェの現代版。自動車事故で死んでしまった作家のクリス(映画では医者でしたが)は天国に着いたが、妻のことが心配でならない。いずれ天国でまた会えると納得しようとしていたが、彼の死のショックで妻が自殺してしまい、彼女は天国にはこれず自らの否定的な世界にとじこもってしまう。クリスは危険を顧みず彼女を助けに行くが…というお話。はっきり言って神や天国,信心,転生など宗教的な言葉の羅列に抵抗感を覚えることがあると思う。キリスト教的価値観がどう見ても強いのは否めないし、妻とクリスに”ソウルメイト”という概念を当てはめてしまうのもリチャード・バックくささが見え隠れするのですが、それでもこの本にはそんなものを吹っ飛ばしてしまう勢いがありました。全編を通してクリスは妻アンのことだけを思い続けています。彼が心を閉ざしたアンに語りかける場面は本当に涙が出ます。あまりにつらくて読み飛ばしそうになったくらいです。あまりに彼女のことばかり考えているので、つい子供のことはいいの?と思ってしまうくらい…というのはきっと映画を作った人もそう思ったんでしょう。映画では子供も天国に行ってしまうもうひとつのサイドストーリーが入っています。こういう作品に泣いてしまうのは、私が結婚した後のカップルのラブストーリーに惹かれてしまうせいなのでしょうかねえ。また映画をみてみたくなりました。

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2003年04月29日 22:52に投稿されたエントリーのページです。

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