実は北野作品を見たのは初めて、というあまりまじめでない映画ファンの私。なので、熱心な北野ファンには申し訳ないんですが、友達が見に行くのでついていったというのが真実。すでに宣伝や、TVの特集で筋はかなり知らされていました。基本的には3組の哀しいカップルのストーリーが進行していきます。メインは社長令嬢との結婚のために恋人をすてた男と、捨てられて気の狂った女。恋人を待ち続ける女とやくざの親分。顔に怪我をおったアイドルとそのために自ら目を傷つけたファン。この3組が実際に地理的にオーバーラップしながら話しが進んでいきます。それぞれのカップルのラスト以外はすでに宣伝されているとおりなので、シンプルに筋を追って画像を見ている印象です。だから思いも寄らないラスト、息つく間もない展開ということは期待できません。まあやくざと追っかけのラストはさして驚かないけど、メインのカップルのラストはちょっとドキッとします。とはいえ、何もかもがとてもネガティブで、刹那的な印象。せつないというよりはなにか揺るぎのない絶望みたいなものを感じました。
そもそもDollsっていうのは文楽の人形でもあって、近松もののストーリーがベースに流れているわけです。この恋愛や世間感というものは時代を超えたなにか、というよりは私にとってはかなり異なったものに感じられました。和(日本)が強く、ストーリー的にも映像的にも強調されていたのですが、ちょっと海外を意識しているなあという感じがちょっと鼻についたかな。全般に楽しいという感じはしないので、デートには不向きかも。映像はきれいです。