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パフューム ある人殺しの物語

映画「パフューム」オリジナル・サウンドトラック
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 サイモン・ラトル サイモン・ラトル ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ラトヴィア州立合唱団 クリスティアン・ヤルヴィ チェン・レイス メラニー・ミトラノ トム・ティクヴァ ジョニー・クリメック ラインホルド・ハイル
東芝EMI (2007/02/07)
売り上げランキング: 1418

※これはサントラのリンクです。

Original Title: PERFUME:THE STORY OF A MURDERER (2006)
Dir: トム・ティクヴァ
Cast: ベン・ウィショー , ダスティン・ホフマン, アラン・リックマン
Story: 18世紀パリの悪臭に満ちた魚市場で生まれ落ちたグルヌイユ(ベン・ウィンショー)は、尋常でない嗅覚の持ち主で、ありとあらゆるものをかぎわけ、匂いの世界に浸る毎日だった。ある日、街で初めてかぐかぐわしい香りを辿っていくと、果物売りの若い娘にたどりつく。その匂いに夢中になるあまり、彼女を殺してしまう。以来その匂いを追い求め、保存することが彼のすべてとなる。

オフィシャルサイト: http://perfume.gyao.jp/

Comment: 先月のとりほさんのサイトの記事を読んでから、凄く気になっていたこの映画。昨日たまたま映画館の前を通りかかったら、土曜日の午後ちょうど良い時間のがあったので、今日早速みてきました。

たしかに全体としての感想は「他に例をみない」タイプの映画かも。正直にいって、すごい感動したとか面白かった、とかではないんだけど、あんまりこういう映画はみたことがない。

映画の前半は主人公が誕生→孤児院→なめし皮職人へ弟子入りという、苦労時代。現代からすると不潔きわまりない映像山盛り。腐りかけた魚、うじに吐瀉物…。主人公は匂いに善し悪しをつけずどん欲に記憶していきます。香水なんかもでてきますが、基本的に臭そうな場所で、風呂に入ってなさそう人がごろごろしているようなところで話が展開しているので、ちっともいいにおいの連想はできませんね。そういう意味ではかなり生理的には不快なものがつづく状態です。

でも、それが吐き気を覚えるほどか?といわれるとそうでもなくて、不思議と臭いの連想というのは起きませんでした。臭いを表現する映画なのに…と思われるかもしれませんが、この話の主人公には体臭がない、臭いに善し悪しをつけないという設定が、このガラス一枚はさんだような感覚で生きているような気がします。

後半は調香師として独り立ちして、映像もカラフル、匂いもお花や香水など明るいものが増えてきます。が、彼が若い娘の体臭を再現するためにトライする様々な人でなしな実験(本人に罪悪感なし)がかなり気持ち悪いです。で、この”美女のエキス”がなんとも言えない色な上に、本命の彼女のが一番濃い~茶色なんだよ。

オチは二段構えなんですが、原作を読まずにみたので、最初のオチにかなりびっくり。このオチは宣伝でもやってる例の広場中の皆さんがむにゅむにゅというシーンですが、そういうつながりなんですか~と結構驚きました。ちなみにこのシーンでは匂いが広がっていくにつれて広場の人がみんなうっとりとしてウェーブみたいにぱたぱたとその場にしゃがみ込んでしまうのですが、広場の皆さんのウェーブが結構ぎこちなくて、「あ、そこ早すぎだって」というひとがそこここに見られて、思わず笑いそうになりました。

この映画の面白いところは全般にシニカルな視点なのだと思います。彼を売り飛ばした孤児院のおばさんの末路とか、調香師の先生の最後とか、悲惨なのに結構”あーあ”って感じに描かれていて、淡々とナレーションがはいって、ちょっと奇妙なおかしさがあります。この映画をみた帰りに原作を買ってよんだのだけれど、原作でもやはりこのシニカルな語り口が一番面白かった。というかこのポイントがちゃんと映画で再現できているっていうのが凄いなと。

英語は大変聞き取りやすいです!というのは主人公があんまりしゃべらないという設定だから(笑)。ナレーションも大変ゆっくり話しているので聞き取りやすかったな。

というわけでほとんどせりふのないベン・ウィショー ですが、彼の演技はよかったです。大御所二人(ダスティン・ホフマン, アラン・リックマン )との競演ですが、存在感といい、奇妙な乖離感といい不思議な主人公を作り上げてましたね。そうそう、大御所二人の役所が、ウェイトがかるいような気がしたのが、原作を読んでみるかと思ったきっかけです。読んでみた感じではアラン・リックマンに関する伏線をもうちょっといれてあげても良かったかな。お話としては正直いって原作の方が面白かったけど、映画は映画の良さがあるから、どちらかをみて気に入ったら両方見てみてはいかがでしょう。映画の方が主人公に人間らしさのかけらをつけて居るんだけど(映画では思わず殺してしまったとか、殺す前にちょっと躊躇するというシーンがあるけど、原作にはそんなのなし)、どっちが良いかはなんともいえない。

食べ物は…ほとんどでてこないよ。ダスティンホフマンがなんやかんやといってワイン飲んでるくらいかな。イタリア出身だからイタリアワインなのか、パリだからフランスワインなのか?

香水―ある人殺しの物語
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コメント (13)

ぢょーぢ:

ベルリン・フィルなんですかぁぁぁ。音楽もよさそうですね~
広場の所で酒池肉林のシーンがクローズアップされて宣伝されたので、どんな感じの映画なんだろう・・・と思ってたんですが、konamaさんの感想を拝見して、原作を読んでみたくなったです。買いに行こうっ!嗅覚とか味覚ってちょっと臭い手前のギリギリの線が一番いいのかしら・・・・・私はやはり臭いのキツイ方はパフリーズを振りかけたくなりますが・・・
って話それちゃった・・・

>ぢょーぢさん
そう、ラトル&ベルリンなんですよ。でもそんなに押しつけがましい音楽ではなかったので(この曲が…という風に頭に残ってはいないです)、ほどよかった感じ。最初ドルビーのクレジットがでたから???と思ったんだけど、五感を大事にする映画だからもちろん聴覚も大事ですな。

う~、最初の方はちゃんと考えるととんでもない匂いがしそうな映像だから、だめな人はだめかな。原作はすごくさらっと読めますので(読んでから見てもそんなにつまんなくないと思うし)おすすめです。

これ、コチラでもやっているので観に行かれれば行きたいな~と思っていました。

私はこういうのって、すごく想像力を逞しくして鑑賞しそう・・。

話しは違うのですが、↑のお二方の会話(?)で、今朝、新聞で読んだとある記事を思い出しました。
自称映画が苦手な方が映画が苦手な理由を書かれていたのですが・・彼女は映画は五感に押し付けがましく迫ってくるから苦手だと・・(匂いはしないとは思うが・笑)音だけ文章だけのほうが、想像力が働いて自分としては楽だと。
ふーむ、人の考え方って様々あって面白いなあ~と思いましたのよ。

>たらり子さん

これは想像力たくましいと辛いかも。腐敗臭とか死体の匂いに対する経験値が高いと色々リアルすぎて辛い気がします。

その五感に押しつけがましいというのは確かにわかる気がします。というのも、本なら「絶世の美女」という文章を読んで想像するのが、映画では監督が思う絶世の美女に近いきれいな女優さんがでてくるわけですからね。多くの人が共感するであろうものだからといって、自分の個性にフィットするとは限りませんから。

もっと単純なことでいえば、映画館での音の音量も観客全員が心地よいなんてことはないはずで、体にずんとくるのがいいという人もいれば、耳が痛いから嫌という人もいるわけです。ですから色々情報が多い分レディメイドの不自由さもあるわけですよね。

それでもやっぱり映画って見ちゃうんだよね~。なんかそこの感覚がちょっとちがうんだよ、ってな話をするのもまた楽しかったりしてね。

あ~、観たいな~。あのあっさり感も生かされているのですね。
でも私はDVD待ちです・・・。

オチ1はしょっちゅう話題になっているけど、オチ2がサッパリ紹介されないですよね。そうとうなこと(?)になっているのですか?あれの映像化ってすごく気になってます。

>とりほさん

そうなんですよ。あのあっさり感があの話のポイントですよね。

グロさにリアリティを求めるなら映画館が良いと思うけど、筋も知っているわけだしDVDで良いと思います。

ちょっとネタばれです。見たくないかたはここでストップ。


オチ2はねえ、原作を読む前にみたので、何がおきたのか最初分かりませんでしたよ。圧死したのかと思った。わーっとひとがあつまって時間がたったら服だけがのこったみたいな、比較的さらりと映像になってます。鳥瞰図的な視点なので、さっぱりしてますけど、みんな幸せそうに口をぬぐっているので…(笑)。

konamaさん、オチ2の解説、ありがとう。
さすがにむしゃむしゃはロコツには出てこないのですね(^^ゞ。最後までさっぱりで良かったです。ホラーで終わったらどうしようかと思いました。
DVDが楽しみー。

>とりほさん

そうなんですよ。さすがにこれでカーニバルーな終わり方はつらいもんねえ。

生まれた市場でことはおきるので、翌日子供たちがこんなところに服がある!と売り飛ばしに(?)いくのがご愛敬。

たらり子:

今日、観てきたわよ~~

本能の権化って感じの主人公でしたね。

なかなか、なかなか!
残酷でグロいけど、何故かどことなく笑える・・。
そうそうkonamaさんおっしゃっているけどシニカルな面白さというか。

美女エキスって・・!!
ダメだ・・思い出したらゾッとすると同時に何故かニヤってする自分がいる。

食べ物・・私は最初のほうに出てきた殻付きの牡蠣を食べる人が印象的でしたね~
あのような臭そうな場所でよく食べるなあ・・って。(あの当時、冷蔵施設なぞ勿論ないだろうから牡蠣自体も発酵しかけていそう・・)それが旨そうに食べているんだな・・(羨ましいのか?)

私は、この映画にはあの音楽はチト大仰だったのでは?って感じました。
映像だけで充分だったわ。(役者さん、皆、素敵な演技をされていましたね)
普段は字幕を追うにのに一所懸命でなかなか最初は音楽を味わうまではいかないのだけど、この映画は台詞が少ないせいか、何故か音楽が耳についちゃった、ま、私が思ったことですが。

見応えのある映画でした。

・・原作読みたいなあ・・

たらり子:

書き忘れた・・

あのね、設定とかは違うのだけど
リバティーンとどことなく通じる所もあるかなあ~って思いました。

天才故の狂気と孤独感・・そんな所がね。

>たらり子さん

観てきましたね。
独特な映画でしょう?
なんか可笑しいというのが良いですよね。

美女エキス…いいでしょ?あの濃い~茶色(笑)。ああいう風に映像化した監督のセンスはやらしくていいですよね。

音楽は、私が観た映画館ではそんなに音量大きくなかったせいか、気にならなかったなあ。例の酒池肉林のシーンの音楽は「くどい」感じだったけど、シーン自身がそういう感じだからねえ。

リバティーンみてないんだけど、そうですか。それは観てみたいような観たくないような~。

原作は気軽に読めますので、是非。

広場の皆さんのむにゅむにゅ場面(この表現もツボですわ・笑)の音楽は私も気にならなかったのよ画面は気持ちがわるかったけど、あと他に器楽曲も。
どの場面だったかな・・唄が入っていたでしょ?私は、歌詞は理解できないけど。
主人公がバルコニーからのぞく赤毛の美女(一番エキスの濃い人)を凝視している場面だったか?
あの場面が気になったのよね。
もちろん製作側としては意図的に入れたのでしょうが。

それとおっしゃるとおり、音響は悪かったかもしれない。
いい音で聴きたい時に行く映画館ではやっていなかったのよ。

リバティーンは・・観終わった時は悲しかったですね。実在の人物がモデルだし。(余談でありますが、ジョニー・デップは美しかった、そして壮絶でございました)

今回のは・・奇妙な夢をみた感じでした。

>たらり子さん

ああ、あの女の子がでてくるシーンかな?最初のそばかすの多い女の子の時と本命の彼女が出てきた時のやつでしょうか。たしかにボーカルの入ったのがかかっていたような気がする。(とりあえず特にサントラを買いたくなるような作品ではなかったなあ)

むにゅむにゅシーンに関してはこの間、役者さんが裸で居ることになれる訓練をした話がヤフーにのってましたね。これを見るとさらに気持ち悪くなると思うけど。
→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070320-00000006-flix-movi

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2007年03月10日 23:08に投稿されたエントリーのページです。

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