フラガール
Dir: 李相日
Cast: 松雪泰子 豊川悦司 蒼井優 山崎静代
Story: 常磐ハワイアンセンター(現常磐ハワイアンズ)誕生のお話。黒いダイヤとよばれた石炭も石油におされ、炭坑も人員削減の波が押し寄せていた。これから石炭の需要が伸びる希望もなく、余剰の温泉を利用したリゾート施設の開発を会社は企画するが、古くからの坑員が賛成するわけもない。会社は企画の一端として、炭坑夫の娘を集めて、フラダンス教師を東京から呼び寄せるが…。
Official Site: http://www.hula-girl.jp/index2.html
Comment: 久々の映画館での映画。前からこの映画は見たいとおもっていたのですが、なかなかタイミングがあわず、今日は遠くのシネコンまで足を伸ばしてきました。が、ほんと良かったです。特に大画面で観て良かった。
あらすじといい設定といい、イギリス映画のフル・モンティとかブラス!、リトル・ダンサー系の話だろうなあと思っていたのですが、同じ路線で、さらに笑いあり涙ありで、良かった。昔風の日本映画だったら、涙涙のお話になっちゃうんだろうけれど、主人公を若い娘さんたちにしたことで、バランスがよくなったのかな。上の三つのお話では、景気の悪い工業や炭坑の街の疲れたおじさんたちや男の子が、様々な仲間内の葛藤の中から、最終的にみんな脱落せずに成功、という話なのに比べて、この話はメインが女の子、その代わり様々な事情で脱落する子や理解されない現実がしっかり描かれていて、逆に彼女たちのエネルギーと気持ちが鮮やかに見えて、うまいな、という感じ。
上に主人公は女の子たちと書きましたが、オフィシャルには松雪泰子主演映画。これはおそらく実在する常磐ハワイアンセンターのダンス教師平山まどかのモデルとなった先生(今でも現役でフラの指導をしているそうです)に敬意を払ってということでもあるのでしょう。しかし、実態としては女の子たち特に蒼井優が主役でしょう(もちろん松雪さんの演技も良かったですよ)。最後のシーンでもとても生き生きとした魅力的な女の子でした。彼女の兄役の豊川悦司は、相変わらず器用な演技。岸辺一徳、富司純子はとても良かった。高橋克美の配役は??と思いましたけど、まあそれは観てのお楽しみ。そしてなにより、”静ちゃん”がその存在感といい、物語の展開といいキィーパーソン。あの雰囲気が見事に生かされていて、驚きました。
全編をとおして、スクリーンに正面顔の大写しのショットが多くて、印象的です。前半は展開が早く、いろいろなことが濃密に描かれますが、その後はむしろ丁寧な絵が多く、さらに最後のフラのシーンは本当にしっかりでてくるので、圧巻です。
しかし、ふとおもったのはこの映画をみた20代以下の人は、どんな風に思うのだろうということ。私たちの世代は、小学校から大学に上がるまでに落盤事故やら数多くの閉山をニュースでみて育った世代。日本の石炭の鉱山がすべてクローズした(太平洋炭坑は今でもほそぼそあるようですが)現在、戦争中の問題なども含めて、喚起されるべきイメージを持たないと、元気な女の子の成長物語になってしまうのかな。
ともあれ、かなり私的にはヒット作。DVDがでたら買おうと思ってます。
そうそう、音楽もよかったです。ジェイク・シマブクロは前から知ってましたけど、ちょっと見直しました。
サントラも購入したので、そのうち紹介しますね。
食べ物は…コップ酒と漬け物。