Title: 誰か - Somebody (実業之日本社)
Author: 宮部みゆき
Cateory: 推理
Story: 有名財閥会長の運転手が死んだ。その真相を知るために残された姉妹は父の人生を本にする事を考えた。会長は姉妹に元編集者であった娘婿三郎に相談にのるよう指示をだした。三郎は運転手の人生をたどり始めたが…。
Comment: いつもの宮部みゆきのストーリーのように、ただ謎解きというのではなく、登場人物の心のひだのようなものを細かく書き込んであり、雰囲気というものが伝わってきて読んでいて面白かった。逆玉といわれつづける三郎の日々の大事なもの、耐えられるもの、耐えられないもの、穏やかな(穏やかであろうとする)暮らしが彼の心情を映し出していて、温かい気持ちになりました。
それに比べて、父のなくした姉妹は、もちろんそういう書き方が意図的であるとは思うのですが、何を考えていたのかよく分からない感じがしました。最後の謎解きが終わっても、そうかそう考えていたのかという腑に落ちる感じがしなくて、なんだかなあと思いました。
謎解きの答えは半ばくらいで大体(一部を除いて)分かります(たぶん。私はその辺りでわかった)。もちろん本当の謎はその一部ってことなんでしょうが、この何となく分かる結末にむかっていく姿が哀しく感じられました。宮部みゆきのベストではないですが、結構いいと思いました。
★★★★☆