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2003年04月 アーカイブ

2003年04月15日

アイアムサム

アイアムサムDir: Brian Helgeland Cast: Sean Penn, Dakota Fanning, Michelle Pfeiffer

結構ぼろぼろ泣きました。周囲の評判もよかったしおすすめといえましょう。お話は知能発達に障害を持つサム(ショーン・ペン)の娘が彼の知的年齢を追い越す時、彼女の精神的成長(というか思春期的行動?)にともなって起こった事件をきっかけに2人は引き離されてしまう。サムは雇ったバリバリキャリアの弁護士(ミッシェル・ファイファー)とともに娘を取り戻そうとするが…という感じでしょうか。あんまりうまくいえないです。宣伝でやっていたようにコミカルが部分があるにはあるのですが、それよりもそれぞれの立場のそれぞれの"善意"と思いが重なりあってかなりつらい部分も多いお話でした。

サムはいつも障害を持つ4人の仲間と一緒に行動している設定なのですが、驚いたことにそのうちの2人は障害者本人の出演です。しかし、おそらくそうと気がつく人は少ないと思います。もちろんよく考えてみれば、独特の顔つきや体型なのですが、役者さんがやっているほかの2人との違和感はほとんど感じません。実際、映画製作にあたって障害者のための施設の協力を得て、さまざまなリサーチを行ったようです。サムを演じるショーン・ペンも独特の歩き方や顔のしかめ方をしています。その演技は本当にすばらしいです。しかし、時折知的の障害のある人という設定からはちょっと考えられない台詞もありました。それは瑣末なことかもしれませんが、ちょっと気になりました。

ミッシェル・ファイファーのある意味普通にギリギリに生きている弁護士さんは、なかなかよかったです。私自身がそんなふうにギリギリな人生なのか、彼女のせりふにかなり泣きました。どうやら本当はサムと彼女の恋物語みたいな場面も当初あったようですが(メーキングによれば)、その面を薄くしておいたのは正解だと思いました。

さて、やはりなにより目立ったのは娘役のダコタちゃんです。彼女のおませな演技は涙を誘いました。彼女なりの葛藤と思いやりが表現されていてよかったと思います。監督の解説によれば彼女に実際に知的障害をもったおばがいるので、自然な演技がでたということです。が、やっぱりかなり残酷なやさしさですよね。とても難しい問題です。そういう意味ではむしろ正面からむきあった弁護士さんのキャラクターのほうが自分としては納得できたかな。それでもやはりここにもアメリカ的正義を感じてしまうのは、どうしようもないことなのかな。

2003年04月29日

奇蹟の輝き

リチャード・マシスン(創元推理文庫,1999)
奇蹟の輝き98年ロビン・ウィリアムス主演の映画「奇蹟の輝き」の原作です。原題はWhat Dreams May Come.映画は油絵風の特殊効果でとても美しく、確か飛行機の機内で見たのですが、2回繰り返して見たのを覚えています。今回は原作を読んでみて、さらに泣けました。
 ストーリーは例の黄泉の国に妻を迎えに行くオルフェの現代版。自動車事故で死んでしまった作家のクリス(映画では医者でしたが)は天国に着いたが、妻のことが心配でならない。いずれ天国でまた会えると納得しようとしていたが、彼の死のショックで妻が自殺してしまい、彼女は天国にはこれず自らの否定的な世界にとじこもってしまう。クリスは危険を顧みず彼女を助けに行くが…というお話。はっきり言って神や天国,信心,転生など宗教的な言葉の羅列に抵抗感を覚えることがあると思う。キリスト教的価値観がどう見ても強いのは否めないし、妻とクリスに”ソウルメイト”という概念を当てはめてしまうのもリチャード・バックくささが見え隠れするのですが、それでもこの本にはそんなものを吹っ飛ばしてしまう勢いがありました。全編を通してクリスは妻アンのことだけを思い続けています。彼が心を閉ざしたアンに語りかける場面は本当に涙が出ます。あまりにつらくて読み飛ばしそうになったくらいです。あまりに彼女のことばかり考えているので、つい子供のことはいいの?と思ってしまうくらい…というのはきっと映画を作った人もそう思ったんでしょう。映画では子供も天国に行ってしまうもうひとつのサイドストーリーが入っています。こういう作品に泣いてしまうのは、私が結婚した後のカップルのラブストーリーに惹かれてしまうせいなのでしょうかねえ。また映画をみてみたくなりました。

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